研究課題/領域番号 |
25590010
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
井上 禎男 福岡大学, 法学部, 准教授 (50346748)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 情報通信 / 情報法 / 情報公開法制 / 個人情報保護法制 / 放送通信法制 / 災害法制 / 原子力法制 |
研究概要 |
平成25年度は、原子力領域における情報収集と比較分析、放送・通信法制の動態把握を作業予定にしていた。 前者に関しては、年度中に原子力規制委員会・規制庁に赴き、担当者との意見交換を通じてわが国の現状把握に努めた。他方、フランスの状況については、原子力安全機関(ASN)のHP等から最新の状況を探り、組織理解のために設置根拠法の訳出作業を進めている。もっとも、わが国で紹介されている情報と確認した最新の状況との異同を認めたために、より慎重な対応・分析の必要を感じた。当該作業は、当初計画通り、平成26年度以降の成果公表に反映させる。他方、この領域では、原子力をも含めたわが国における災害法制上の問題に関する共著論攷に着手することができた。当該成果は、平成26年6月に公表する。 後者に関しては、災害時に果たしたコミュニティFMの役割を軸とした、わが国における放送事業の動態把握を行った。その成果は、共著論文として年度中12月に公表した。また、有識者への聞き取りと意見交換のための国内調査も遂行し、専門的な知見を得ることができた。当該分析作業には、引き続き従事する。 なお、並行していま一つの課題領域となる情報公開・個人情報保護に関する検討も平成25年中に行い、コンメンタールの分担執筆および、最新の事例研究2件を成果として公表した。平成26年6月中に、さらに2件の成果を公表することが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成25年度計画での優先順位の第一は、本研究上での新機軸となる原子力領域における日・仏比較研究のための情報収集と分析を行うことであった。この点に関しては、年度中に原子力規制委員会・規制庁に赴き、担当者との意見交換を通じてわが国の現状把握に努めた。その一方、フランスの状況についても、わが国で紹介されている直近の情報と確認した最新の状況との異同を認識することができたので、目下継続して、平成26年度以降の成果物公表に向けた準備を予定通り進めている。また、平成25年度中には、原子力をも含めたわが国における災害法制上の問題に関する共著論攷に着手できた。当該成果は、平成26年6月に公表する。 平成25年度計画における第二の作業である、新たな「放送法」を軸としたわが国における新たな放送・通信法制の施行後の事業者の動態把握の注視については、災害時に果たしたコミュニティFMの役割を軸とした、わが国における放送事業の動態把握を行い、かつ、共著論文として12月にその成果を公表することができた。有識者への聞き取りと意見交換のための国内調査も遂行し、専門的な知見を得ることができた。 さらには、別途、次年度以降の研究テーマとなる情報公開・個人情報保護に関する成果物の公表も行い、加えて別途の公表準備にも着手することができた。
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今後の研究の推進方策 |
中心となる研究推進方策は、本研究の対象各領域における日・仏比較研究のための情報収集と分析のために、日仏の文献ないし情報の収集と渉猟・分析を行うことである。 そのため、まずは国内の研究者ないし有識者、さらに実務に携わる行政機関もしくは団体等への国内調査を遂行し、実務と理論との架橋を意識した問題認識を図ることになる。 他方、国外における調査研究は補完的なものとして位置付けている。そのため、必要があればこれまでの経験を踏まえ、フランスにおける行政機関(第三者機関・独立行政委員会)へのアポイントを行い、実地調査を実践する。ただし、対象となるフランスの計5機関に連続して、また実際、当該すべての独立行政委員会にアポイントをとることは不可能であると思われる。そのため、国外調査が不可欠と判断すれば、必要に応じてアポイント可能な機関に限定し、平成26年度、平成27年度の早い時期での1回での実施を予定している。なお、調査の十全かつ精確さを期すために、これまでの調査にも同行した信頼できる通訳者(フランス控訴院認定法廷通訳・翻訳者、国際会議通訳者協会会員)である広田京子氏の補助を仰ぐ(日本円での規定額の謝金支出を行う)。 以上の研究推進方法については、申請時点と変わらない。なお、本研究の遂行上、国外調査研究の可能性ないしは必要性がないと判断した場合には、当該経費について国内調査研究および各種文献の購入費用に振り替え、当該手法面でのさらなる充実に資する。
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