研究課題/領域番号 |
25590016
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
東本 愛香 千葉大学, 社会精神保健教育研究センター, 特任助教 (00595366)
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研究分担者 |
五十嵐 禎人 千葉大学, 社会精神保健教育研究センター, 教授 (40332374)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | こころの健康 / 再犯防止 / WHO-SUBI |
研究概要 |
本研究課題は、予防的介入を視野に入れた効果的な再犯防止策を示していくことを目指し、犯罪者の「こころの健康」に焦点をあて、受刑者のこころの健康度、問題行動との関連について検討するものである。当該年度における実績としては、長期受刑者のこころの健康度を測定するとともに、問題行動(懲罰)、年齢との関係を明らかにした。こころの健康度の測定には、WHO-SUBI(The Subjective Well-being Inventory)を使用した。調査の結果、受刑者のこころの健康度は低く、こころの疲労度も望ましくない状態であることが示唆され、また、こころの健康度の低いものは懲罰が多いことが明らかとなり、こころの健康と問題行動との関連も示唆された。本研究課題の対象となる受刑者に対する再犯防止指導においては、こころの健康に着目した課題を取り入れることの有益性が予測された。そこで、対象者のこころの健康を高めることを目的として加えた認知行動療法をベースとしたプログラムを提供し、プログラム受講後の変化について分析検討した。本研究の対象となるプログラムは、すでに刑事施設において提供されている「被害者の視点を取り入れた教育」であるが、従来のプログラムを改訂するかたちで提供している。事件時の自身の生活状況、認知、行動、結果をふりかえる、また、今後より良い生活を送ることのためにどのようなことが必要かを考えさせ、さらに「なりたい自分」をイメージさせていくなどの課題に取り組む。すでに、国際学会においてプログラムの内容について報告しており、改訂版を作成し、実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究課題の平成25年度研究計画に準じて、研究1である施設全体のこころの健康度に関するデータ収集および入力が終了し、長期受刑者のこころの健康度について明らかになっている。また、研究2であるプログラム作成については、すでに作成したものを実践し、改訂したものを再試行中である。このことから、平成26年度研究計画についても、すでに取り掛かれている状況であるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の今後の推進方策として、新たに作成したプログラム実施群と従来のプログラム実施群との比較検討を行い、本研究において着目したこころの健康度が、長期受刑者の認知や行動に与える影響について検討する。さらに、その他機関においても使用可能な形式となることを目指す。また、すでに収集したデータをもとに、こころの健康度と罪名、刑期、学歴、刑期経過年数、懲罰有無との関連をも明らかにし、刑事施設における再犯防止に関して、今後の取り組みについて考察し、そのほかの刑事施設においても役立つ結果として本課題を進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度、研究分担者が国際学会への参加がなかったが、本年度も研究責任者が積極的に国内外学会において発表するため参加費として、次年度使用額として使用することとしたい。 14th Annual Meeting of the International Association of Forensic Mental Health Services(June 19-22, 2014)への参加費(一部)として使用する
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