これまで、不当利得法といえばドイツ法が圧倒的な体系性をもつとされ、日本でも外国法としてはもっぱらドイツ法が参照される傾向にあった。しかし、フランスの不当利得法を対象に、その内在的な論理に従って、訴権を基準に類型化して分析したうえで、さらに類型相互間の影響関係を叙述する、という方法をとる場合に、同じ対象についてドイツの類型論をあてはめて外在的に分析する論考と比較して優位性をもつことが示された。今後は、訴権中心の類型化という手法を、フランスのみならず、その他の法体系の不当利得法の分析の際に用いることで、未解明の問題のありかや、法的問題へのありうる解決を考える際の指針を得られることが期待される。
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