「高齢者・障がい者施設の利用者の資産保護と施設運営法人の役員責任・内部統制」をテーマとして、高齢者・障がい者施設における利用者の資産保護と運営法人の内部統制をテーマとして、社会福祉法人等の施設運営法人における役員責任およびガバナンスのあり方を、各種法人(社会福祉法人・一般法人・医療法人・学校法人・宗教法人・NPO法人・株式会社等)との比較で考察し、民事信託および後見制度支援信託等を活用した高齢者・障がい者の資産保護について考察した。具体的には、次の内容である。 第1に、高齢者・障がい者施設の運営法人のガバナンスとして、①法人の責任、②役員等の対法人責任・対第三者責任の追及方法、③行政の取組み等を類型化して各種法人間で比較した。第2に、内部統制の具体的内容として、①情報の保存・管理体制、②損失の危機管理に関する規程のあり方、③役職員の職務執行の効率性・法令定款に適合確保の体制、④監事の職務の独立性・実効性の確保、を検討した。第2に、高齢者・障がい者施設の金銭管理の法的課題として、①管理方法、②取扱い規程、③利用者の判断能力の問題の有無と家族の協力関係の有無における運営法人のあり方、④職員の違法な財産処分の対処、⑤外部機関(家庭裁判所、金融機関、専門職、NPO法人等)との連携協力の方法等、⑥秘密保持・個人情報保護のあり方、⑦利用者家族等による経済的虐待の対策、⑧当である。第3に、後見制度支援信託について、①利点と課題、②具体的な契約内容の検討、③信託財産の運用・管理、④信託契約の終了と専門職のあり方等を検討した。第4に、福祉型民事信託と運営法人との関係・提携として、①目的信託、②受益者連続型信託、③家族信託、④遺言代用信託、⑤年金信託、⑥公益信託について概観し、法的課題、債権者詐害信託の対処、受託者の破たんと属性、情報開示のあり方等を分析した。
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