研究課題/領域番号 |
25590027
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研究機関 | 保健医療経営大学 |
研究代表者 |
樗木 浩朗 保健医療経営大学, 保健医療学部, 教授 (70607093)
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研究分担者 |
樗木 晶子 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60216497)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | インフォームド・コンセント / 意識障害 / 意思の欠缺 / 救急医療 |
研究実績の概要 |
平成25年度に開始した本研究は、当初(1)意識障害があるために事理弁識能力がない、あるいは、障害されている患者の同意の現状についての調査。(2)診療契約に関わるこれまでの法律的議論の文献的調査。(3)米国における救急医療のICの現状を調査し本邦の現状と比較検討する。の3つの調査を柱としていた。3年計画のうち2年間は主として調査にあてデータの収集を行った。国内外の病院への訪問調査を行ったため訪問先の病院との調整に時間がかかり、調査の順番を入れ替えるなどの努力を必要としたが、病院への訪問と調査は終了し、データの整理検討に段階に入ることが出来た。現時点で研究成果として、発表する段階には至っていないが、検討・考察を行うに十分な数の症例を収集することが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度には、文献的調査を行い、米国ニューヨーク州の地方都市であるエルマイラ市(人口約3万人)にある Arnot Ogden Medical Center を訪問し、救急専従医と救急症例も担当する一般外科医と面談することが出来た。同センターは小都市の基幹病院であり、一般救急医として多くの症例に接するいわば総合救急医として救急医が勤務しているので、さまざまな症例についてディスカッションが出来た。 平成26年度には、聖マリア病院脳神経外科の協力を得て、平成26年に同科に入院した頭蓋内出血の患者についてカルテ調査を行った。調査項目は入院申込書、入院診療計画書、各種の承諾書への署名者に関わるものである。約530件のカルテを調査することが出来たが、連結可能匿名化したデータベースに入力し、統計的処理を行うための準備をおこなった。平成27年度に解析を行うこととしているが、データを俯瞰した結果、説明に対する同意が後付になっている場合があることや侵襲的行為に対する代諾も少なからずあることが認められた。 救急医療現場への訪問調査は当初米国の比較的大きな都市にある総合病院を訪問する予定としていたが、前年度に米国の地方都市の基幹病院を訪問し、相応量の情報を収集することが出来たので、フィリピン国マニラにある公立病院を訪問することとした。主任研究者の勤務先である保健医療経営大学にJICAに長く関わってマニラの医療事情に詳しい教員がいたため、その教員の助力を得て訪問が可能になったものである。2つの公立病院を訪問し現地のスタッフにインタビューを行う事が出来た。副次的にそれらの病院の救急医療の実態を一部見学することが出来たが、日本では考えられないような病床利用を行って満床を理由に救急患者の受入を断らない姿勢には深い感銘を受けた。
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今後の研究の推進方策 |
収集したデータは表計算ソフトを用いて原始的なデータベースとしたので、今後はそれを統計処理する予定である。データを集計して解析を進めるうちに新たな切り口を見いだしこれまでの知見に加えて新たな考察を加えることを期待している。ある程度データの整理がついた段階で、救急医療関係の学会に発表・報告を行いたいと考えている。考察を進める段階で更に訪問した病院のスタッフからの情報提供などの援助が必要な場合は適宜コンタクトをとって協力を要請する予定である。
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