研究課題
同意能力が障害された患者の医療行為に対する同意の実態を調査し、現状を明らかにすることを目的として、平成26年度から27年度にかけて、診療録を調査した。対象は研究協力者の勤務する聖マリア病院脳神経外科を平成26年に退院した537例(男性296例:平均57.6±25.3才、女性241例:平均65.6±26.6才)とした。手術症例は158例であった。調査項目は、入院(診療)申込書、診療計画書と各種説明同意書(手術、血液製剤使用、身体抑制、造影剤使用等)である。患者属性としては、年齢、性別、疾患名、Japan Coma Scale (JCS)による意識レベルを調査した。各種承諾書においては、患者本人署名欄と家族署名欄に記載された筆跡を目視で比較することにより、各署名者の推定を行った。意識障害のレベル毎に各種同意書の本人欄の記載者を推定した。手術症例158例の承諾書に患者本人が署名したのは、8例(5.1%)で他は本人以外の人物が本人として署名したと推定された。内訳は配偶者34.8%、子40.5%、兄弟3.8%、その他15.8%であった。医療行為で最も肉体的侵襲の伴う、即ち本人の同意なくしては合法的に行えない筈の手術においても厳密な意味での書面による本人の同意がなされていない実態が明らかになった。患者の身体的自由を制限する身体抑制の同意は345例においてなされていたが、同意書に患者本人が署名したのは3例(0.9%)であり、残りの342例(99.1%)では本人以外が本人蘭に署名していた。これらの実態をまとめて報告すべく日本救急医学会総会に演題を提出した。
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