日本と韓国の間の領土問題に関連する国内・国外の研究は豊富である。本格的な研究書を取り上げても、たとえば、玄大松の『領土ナショナリズムの誕生』などが存在する。しかし、領土問題をめぐる民意に関して仮想的なシナリオを被験者に提示しその反応を観察するという、サーベイ実験手法を用いた研究は、国内外問わず乏しい。また、世論が領土問題に対する政府の対応の違いをどのように認識し、かつ、その違いが仮想の国政選挙での投票行動に与える影響は、従来の研究で十分に分析されておらず、本研究はその課題を解決することを狙いとした。サーベイ実験の結果、従来有効とされてきた国際司法裁判所の判決効果が乏しいことがわかった。
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