研究課題/領域番号 |
25590039
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
吉田 和浩 広島大学, 教育開発国際協力研究センター, 教授 (70432672)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 国際研究者交流 / ネパール / 国際情報交換 / 国際教育協力 |
研究実績の概要 |
初年度に続き、教育分野の国際協力において、包括的な教育政策に基づくプログラム型支援を実施している国としてネパールを選定した。ネパールは初等教育・中等教育を対象とした学校教育セクター改革プログラムを実施中である。基礎教育の無償普遍化、住民参加の促進、地方教育行政の強化などを進める改革群を、日本のJICAを含む開発援助機関の協調的支援により実施している。援助機関からの資金提供形態は従来のプロジェクト型に加え、各機関が供与する資金をまとめて一括管理するプール型が並行して行われている。プール型資金の供与は今後ますます成果重視に移行していく傾向が見られる。教育の課題は、就学状況の改善に伴い、学びの改善へと移っている。これは、現在ユネスコを中心に策定中の、教育に関する2015年以降の国際的な開発アジェンダに沿った動きでもある。山間部、僻地部が多く、民族・言語的多様性を持つネパールにとって、学びの改善は重要なテーマとなっている。これらは今日の途上国が共通して抱く課題であり、また国際協力の形態も近年の世界的潮流の特徴を持っている。これらから、ネパールの経験から得られる研究成果は、今後の効果的な国際教育協力のあり方に重要な示唆を与える事例となることが期待される。 研究に当たっては、トリブバン大学のコイララ教授をはじめとする研究者チームとの協力体制を構築し、また教育省、JICA等援助機関からの効果的な支援を得ながら現地調査を遂行した。 研究の中間的成果は日本比較教育学会第50回大会で発表(7月)、他の研究と統合した形で国際比較教育学会(CIES、ワシントンDC、3月)において発表し、また共著論文として発表した。 さらにアジア・アフリカからの行政官を研修員として迎えたJICA受託研修事業において、これまでの研究成果を取り入れた講義内容を提供し、政策改革を促す教育分野の国際協力の有効性を検討する上での留意点を整理した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的では、①資金供与条件とされる成果指標の妥当性、②政策改革と教育の質改善を繋げる施策の実態、③教育現場の知見を政策改革のプロセスに活用するための手法、とについて比較検証することで、国際教育協力の有効性を高めるための具体的方法論を定期することを挙げている。過去2年間において、カンボジアおよびネパールの2カ国を事例としてこれらについて実践的な研究に取り組むことができた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる平成27年度には、アフリカの事例を取り上げ、これまでの成果と合わせて比較検討を加えつつ、研究成果の総合的なとりまとめを行う。引き続き、これまで構築してきた研究ネットワークを有効に活用し、効率的な研究調査に心がける。 研究成果は国内外の学会での発表、ジャーナルへの投稿を通じて広く公開するとともに、研究の実践的成果として、国際教育協力の有効性を高める、という実効性に繋がるための手段を講じる。
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