研究課題/領域番号 |
25590041
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 北星学園大学 |
研究代表者 |
阪井 宏 北星学園大学, 文学部, 教授 (00610742)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | カウアイ島 / サンフランシスコ / サンディエゴ / 沖縄 / 阿嘉島 / 和平交渉 / メッセージ |
研究概要 |
研究開始年の2013年は8月28日から9月11日までの日程により、米国内のカンザス州アビリーン、ジョージア州アトランタ郊外カミング、ワシントンDC郊外の3カ所で本交渉に関する研究調査を行った。 アビリーンでは、米公文書館傘下の「アイゼンハワー・ライブラリー」を訪れ、和平交渉通訳官Osborn氏の手記等のコピーを入手した。続いてカミング在住のTrudy Johnson氏宅で、同氏の父で米側交渉団リーダーであったClark氏のメモワール、手帳、手記等を閲覧、コピーさせていただいた。このあと訪れたワシントンDC郊外、メリーランド州カレッジパークにある米公文書館「アーカイブズII」では、和平交渉関連の公文書類を閲覧、コピーした。一連の研究調査により、本研究の概要を伝える米国側文書はほぼ手に入れることができた。また、本交渉の史実に関する新たな発見も多数あった。 一方、2014年には3月17日から27日までの日程で、アメリカ・ハワイ州カウアイ島、サンフランシスコ市、サンディエゴ市の計3ヵ所を訪問し、本交渉に参加した米軍側の兵士計4人の子息にインタビューを行い、そのビデオ映像を撮影した。インタビューしたのは米軍側の隊長の息子1人(Mr. Jeffry Clark)のほか、通訳官の息子3人(Mr. Daniel Steward、Mr. Clive Steward、 Mr. Ronald Oda)と娘1人(Ms. Kim Osborn)。その際、子息が保管する手記類などのコピーも大量に入手することができた。貴重な証言も得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、難航が予想された米軍側の元兵士の子息たち、特に通訳官3人の子息たちの消息をすべてつかむことができたのは幸運だった。 また米軍が残したさまざまな報告書類も入手でき、これまで断片的にしか伝えられてこなかった本交渉の全容が明らかになった。米軍内での本交渉に対する評価が決して高くないことも分かりった。 インタビューでそれぞれの子息に対し、次世代に残すビデオメッセージを依頼したところ、5人ともが快く応じてくれ、ビデオカメラの前で思い思いに語ってくれた。父親の行動を誇りに思い、平和の尊さ、コミュニケーションの大切さをそれぞれがカメラに向かって呼びかけ、貴重な映像を撮ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2014年度は日本国内の元兵士、住民らへのインタビューを集中的に行い、本交渉の歴史的意義に迫る。予定では5月に兵庫県西宮市在住で、本交渉の中心的役割を果たした梅澤裕氏にインタビューを行う。既に98歳と高齢なため、インタビューを急ぎたい。また、通信隊長だった倉敷市在住の柴田牧二氏にも会う。通信手段が途絶した中で守備隊としてどのように意思決定をしたのかなどについてうかがう。さらに6月には沖縄県那覇市、慶良間諸島・阿嘉島を訪れ、取材する。これが14年度の研究調査の柱となる。インタビューでは本交渉を沖縄島民がどう受け止めているかという点を重点的に聞く。那覇、阿嘉島の双方で映像を撮り、記録として残す。当初予定していた日米両国の小学校での授業とその結果分析は、予算の都合もあり、規模を縮小して行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
旅費、物品費の支出が当初予定より少なかったため、初年度の経費を抑えることができた。 2014年度の物品費、旅費に充てることとする。
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