研究課題/領域番号 |
25590043
|
研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
濱下 武志 龍谷大学, 仏教文化研究所, 研究員 (90126368)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 「国際研究者交流」中国、台湾 / 「国際情報交換」中国、台湾、香港 / 海関 / 人事考課 / 華人海関員 / 洋人海関員 / 海関総税務司 / 海関総税務司通令 |
研究実績の概要 |
「近代中国の「外国人税務司人事制度」に見る国際関係」に関する現段階までの研究実績の内容は、以下の三項目に亘っている。1.中国海関総税務司であるロバ-ト・ハートの人事考課政策、2.外国人ならびに中国人海関員の職務別・海関別統計作成、3.海関職員の中外比較ならびに外国人海関員相互間の国際比較である。すなわち、1)人事政策、2)人事統計、3)海関人事を通してみた国際関係、以上の三項目である。 また、扱う時期は、1860年代から20世紀初頭にかけた清末期であり、ロバート・ハートが総税務司を勤めていた時期である。具体的な例を挙げると、人事任用に関する指示は、1861年に開始され、同年には「海関職員録の作成に関する件」、1863年には、「職員名簿の提出に関する件」、同年「ロバート・ハート総税務司に新任の件」、1865年には、「中国人関員に対する新年賞与の件」、1867年「外班員に関する報告書提出の件」など、1860年代から70年代にかけて急速に整備されていく。この任命ならびに職掌に関する指示は、国際的なバランスを考慮したものと考えられるので、これらの資料に関する系統的な検討を更に進めることにより、本研究課題の目的を達成することが可能である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
人事考課についての資料には、任命資料のほかに、爵位付与に関する資料があり、外国人海関員が清朝から受爵している実際が記録・公開されている。このように、イギリスが主導した中国海関という近代官僚機構に於いても、清朝の爵位が与えられていることは、海関人事が清朝の下に置かれているという側面を端的に表しているものであるといえる。とりわけ今回の研究課題においては、外国人税務司制度のなかに国際関係の特徴を見るというところに焦点があり、清朝中国と諸外国との国際関係が、この爵位授与という点からみるという検討が進んだことにより、今回の研究課題が順調に進んでいるとみなすことが出来る根拠となっている。具体的な資料として、1907年のハート帰任の年に刊行された、Chinese and Foreign Honours, Decorations, Literary Degrees, etc.,Held by Members of the Customs Serviceによって総合的な動態と特徴を検討・分析を深めたい。
|
今後の研究の推進方策 |
今回の人事考課の資料のなかで中心を為す外国人税務司の国別統計について、エクセルに入力しつつ海関別の集計をおこなう。また、各海関に於いて国別・職種別にどのように外国人海関員が関わっているのか、また同時に中国人海関員がどのように配置されていたのか、について検討し、実務的また国際関係的な側面から特徴を確認していく作業を進める。 また、次年度は最終年度であることから、これまで外国の研究協力者と共に分担して取り組んできた資料調査と資料収集を、一堂に会して集中的に検討する国際シンポジウムを開催する計画である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本研究題目の最終の第3年度目には、国際シンポジウムを開催し、共同で資料の検討と内容に関する討論をおこなう計画であるが、調査研究の過程で、これまで計画していた上海・南京・香港における海関研究者のみならず、広州・台湾・シンガポールなどの研究者とも討論する必要が生じたため、一部予算を次年度の使用へと移動させた。
|
次年度使用額の使用計画 |
本研究題目の最終の第3年度目に、京都に於いて国際シンポジウムを開催し、中国・香港における海関研究者のみならず、台湾・シンガポールからも海関史研究の専門研究者を招き、資料の検討と内容に関する討論をおこなう計画である。このシンポジウムへは、5名程度を招聘する予定であるが、そのための交通費・宿泊費・会議費などの諸経費に充当して使用する計画である。
|