本研究は、これまでもっぱら経済史において外圧という視座から検討されてきた海関関係資料の中で未検討であった人事資料を、新たに清朝と外国を統合する国際経済関係という視角から、経済社会、財政金融政策に亘って検討した。 より具体的には、(1)膨大で多様な海関人事関連資料を可能な限り系統的に収集、整理分類し、データベース化し、複合的な検索を可能とする項目を策定して基礎データを構築した。この基礎データに基づいて、海関人事の国際的特徴と長期の変動を統計的に明らかにした。そして、(2)借款などの金融財政政策における国際的関係に登場する海関関連人材相互の関係を、共同と競合の両面から検討し、国際共同経営組織たる中国海関の歴史的特徴を明らかにした。
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