社会選択理論において選好関係の無差別推移性が果たす役割についての研究を行った。第一に、非循環的かつ無差別推移的な選好関係によって合理化可能な選択関数(以下、AC-IT選択関数と略記する)について考察した。その結果、「選択の再帰性」という新しい公理の下で、AC-IT選択関数を完全に特徴付けた。さらに、AC-IT選択関数と二つの協力ゲーム解(狭義コアとフォンノイマン・モルゲンシュテルン安定集合)との関係を発見した。第二に、個人の知覚・認識に限界があるような状況において、アロウの不可能性定理の成立可能性について検討した。その結果、アロウの定理が成立するための十分条件を発見した。
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