研究実績の概要 |
差別化された財の寡占市場における合併の競争制限効果をみるためには、プライス・コスト・マージンにより市場支配力が生じるかをみることが重要である。差別化された財の寡占の市場における企業のプライス・コスト・マージンは、その需要の価格弾力性の逆数となる。需要の価格弾力性を推定するために必要となる需要関数の推定モデルとして現在最も受け入れられているモデルが、Deaton and Muellbauer (1980) の AIDS モデルである。本研究では1) Allais and Nichele (2007) による複数のレジームからなる需要関数推定モデルであるMarkov-Switching AIDS モデルにおけるベイズ推定方法を確立し、2)Spiegelhalter et al. (2002) によって提唱されたDIC ベイズモデル選択規準をMarkov-Switching AIDS モデルに適用可能なように拡張し、この重要な分野の新たな解析手法を提供することを目的とした。このうち1)についてはKabe, S. and Kanazawa Y. (2013), “Estimating the Markov-Switching Almost Ideal Demand Systems: A Bayesian Approach,”Empirical Economics, December 2014, Volume 47, Issue 4, pp 1193-1220に結実した。Impact Factor:0.693.また2)についてはKabe, S. and Kanazawa, Y. (2016), "Variable selection in a Bayesian regression model via generalized Bayesian criterion"として投稿中である。
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