1.空間経済学のフロンティアについては、大都市内における土地利用や地価形成を調査し、都市経済理論の分析も並行して行った。また、いままでに構築した空間経済関連のデータベースを用いて、計量経済分析を行い検証した。さらに、産業組織論の分野で大きく発展した製品差別化の理論を空間経済学に取り込み、新たな理論展開を図った。 また、 空間経済学おいて未開拓である投票行動における情報集約理論を取り入れることによって、政治学と経済学を統合した研究を行った。さらに、日本とアメリカにおける選挙に関するデータを収集し実証分析を行った。 2.新経済地理学と新貿易理論の研究については、貿易と労働経済に関する研究に焦点を当てて分析を遂行した。具体的には、労働者の異質性を導入することによって、貿易の自由化が労働供給量、企業数、経済厚生に与える影響を分析し、以前の研究との相違点を明らかにした。さらに、企業の生産性に異質性を導入することによって、貿易の自由化が与えるさまざまな影響を分析し、政策的含意を模索した。 また、複数財を生産する多国籍企業を導入することによって、企業が輸出するか多国籍企業になるかという選択を考慮したモデルを構築し、分析を行った。さらに、企業がどの程度多様な財を供給するかについての部分均衡分析を行った。特に、貿易の自由化が企業数、財の数、経済厚生に与える影響について分析し、自国市場効果や立地優位性の効果について分析した。
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