研究課題/領域番号 |
25590055
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 政策研究大学院大学 |
研究代表者 |
岡本 亮介 政策研究大学院大学, 政策研究科, 准教授 (60323945)
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研究分担者 |
田中 誠 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (10377137)
細江 宣裕 政策研究大学院大学, 政策研究科, 准教授 (60313483)
池田 真介 政策研究大学院大学, 政策研究科, 助教授 (90598567)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 電力市場 |
研究概要 |
9地域電力市場モデルであるeSTPAモデル(Spatial and Temporal Price and Allocation Model)を用いて、原子力発電所の脱落の影響と代替電源導入の効果を調べた。eSTPAモデルの枠組で、最近運開・予定、建設中の発電所だけでなく、仮想的に新規導入されるガスタービン複合火力発電所(GTCC) も考慮した。そして、原発脱落のケース、原発脱落+GTCC代替導入のケース、高齢機原発脱落 + GTCC代替導入のケースなど、今後想定される様々なケースのシミュレーションを行った。シミュレーション分析から、原発脱落のケースでは1.5-3円/kWhの価格上昇が生じるという推定結果となった。特に原発依存度の高い地域(中部以外の60Hzと北海道)でより高い水準となる。また、ピーク時間帯により大きい価格上昇が見られた。原発脱落に対してGTCC代替導入を行うケースでは、価格上昇は0.5-1.5円/kWhに抑制されるという結果が得られた。これらのシミュレーション分析では、地域間送電が減り各地域の「自給自足化」が促進され、結果的に送電線混雑が発生しにくくなることが示唆された。 風力や太陽光などの再生可能エネルギーの導入が進む状況を踏まえ、renewable portfolio standard (RPS)の制度が導入された市場の分析も行った(例:日本のRPS法)。特に、電力産業では市場支配力の問題が懸念されることから、既存の支配的企業と新規参入のフリンジ企業を想定するモデルを考察した。支配的企業の電源構成が主に非再生可能エネルギーである場合、支配的企業は戦略的にrenewable energy certificate/credit (REC)の価格を下げるように操作する一方、電力価格を吊り上げる操作をする誘因があることを、理論と定量分析により明確化した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画したように研究がおおむね完成し,口頭報告を行うことができている.また,一部は,学術雑誌に掲載されたため.
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今後の研究の推進方策 |
これまでの電力市場の入札データに関する分析を進めて,構造推定を行い,競争促進政策等の仮想的なシミュレーション分析を行う.また,理論分析の結果をこうした実証分析の結果とつきあわせることで,現実的な政策的含意を導くことを目指す.
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次年度の研究費の使用計画 |
当初計画していた学会報告のための海外出張を次年度に持ち越したため。 国際学会参加及び発表を初年度よりも重点的に行い,研究成果の公表と改善に努めるものとする.
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