研究課題
再生可能エネルギー導入とアンバンドリングを念頭においた我が国の電力市場の各種の分析を実施した。まず、再生可能エネルギーの普及可能性を調べるために、日米比較の視点も含めて、消費者の支払い意思額(willingness to pay)を分析した。その結果、再生可能エネルギーの1%増加に対する支払い意思額は、日本と米国でそれぞれ一ヶ月あたり0.31ドルと0.71ドルであり、既存研究とも整合してかつ十分高い値が確認された。他方、原子力発電の1%減少に対する支払い意思額は、日本では一ヶ月あたり0.72ドルとなり、一ヶ月あたり0.1ドル台の米国の結果よりも格段に高い傾向を示した。特に、日本の消費者は、原子力から再生可能エネルギーへの代替に高い支払い意思額を示す結果となった。次に、電力自由化を視野に入れ、原子力停止のもとでの電力市場のシミュレーション分析を行った。原発停止による供給力不足を、ガスタービン複合火力の新規導入で補うと、全体的に電力価格は抑制される。その効果は、ピーク期(夏と冬)・ピーク時間帯(昼間)において特に大きく、ベースケースと比べた場合の価格上昇幅は、北海道以外では1円/kWh以下になる。しかし、オフピーク期(春と秋)・オフピーク時間帯(夜間)はあまり低下しない。これは、ガスタービン複合火力の燃費が原発ほど低くないために、オフピークにおいては経済性がなく、したがって、運転されないためである。さらに、日本卸電力取引所(JEPX)の30分ごとの取引データを用いて、Amihudの非流動性を分析した。その結果、JEPXは、週末の方が流動的で、逆に平日、特に月曜日に非流動的であることが示された。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (4件) (うちオープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件)
GRIPS Discussion Paper
巻: 15-04 ページ: 1-26
RIETI Discussion Paper Series
巻: 14-E-069 ページ: 1-34
巻: 14-E-069のノンテクニカルサマリー ページ: 1
University of California, Berkeley, Goldman School of Public Policy Working Paper Series
巻: August ページ: 1-33