研究課題
第1に、文化的要素を取り入れた貿易の新理論の構築と、貿易が文化のダイナミズムに作用するメカニズムに関する理論的基礎の構築について、比較静学の方法や政策効果の分析を含め様々な方向性を検討し、文化と貿易を融合させて新理論の構築を試みた。また、過去にしばしば貿易紛争となってきた文化と貿易を巡る対立点に関して、ユネスコの文化多様性条約が文化的財の国際貿易に与える影響を実証分析によって検証し、新理論の適応可能性について検討した。第2に、文化の相違が直接投資のための費用に影響を及ぼすような状況のもとで、壊れる可能性がある財の貿易取引の形態がどのようになるかを分析した。貿易費用や直接投資のための費用の大きさによって、外国産の財が壊れた場合に、1)修理できずに捨てるケース、2)自国のライバル企業が修理するケース、3)外国企業が自国内にサービスセンターを設立して修理するケースが均衡として生じることを示した。また、自国消費者や世界全体にとっては3)が一番よいが、国民性・文化は対内直接投資(外国企業による自国内でのサービスセンターの設立)に対する抵抗感と関わり、直接投資のための費用に大きな影響を及ぼすため、そのようなケースが必ずしも実現できないことを示した。第3に、環境資源を共同管理するような文化を持つ国における最適な税や環境保護政策について分析した。具体的には、森林資源がコモンズによって共同管理されているような農村と失業が存在する都市が存在する経済を想定し、森林資源を利用することによって生産される財に対する輸出税や政府による植林政策が森林資源の保護、都市部の失業、国全体の経済厚生に及ぼす影響を明らかにした。植林政策が森林資源の保護と失業のトレードオフを解消し、経済厚生を上昇させる可能性があることを示した。
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