研究課題/領域番号 |
25590058
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
野村 茂治 大阪大学, 国際公共政策研究科, 教授 (10135288)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | convergence / migration / transitional economies / institution |
研究概要 |
本研究の1年目の最大の実績としては、2014年アメリカのテキサス州のサンアントニオで開催された、第44回UAA学会(アメリカ都市学会)で「economic convergence and population movement]という題目のもとで、研究報告したことである。そこでは日本においては、国内人口移動と経済発展がかなり密接に結びついてきていたことを理論的・実証的に明らかにした。さらにそこでは経済が低い水準から成長する場合には、相対的に人口移動がスムーズに進むのであるが、ある程度高度な水準に達成すると、そこから経済発展するには、一層の国際化が要求されることが明らかにされた。日本では、バブル崩壊後、経済の長期低迷時代に陥ると、高齢化・少子化の動きとあいまって、国際化の動きも緩慢になってきている。今後、ますます高齢化が進む日本社会においては、医療・介護分野における国際化の促進が急務と考えられるが、どのような対策が望ましいかは、次年度の研究に委ねられる。 2013年10月に札幌大学で行われた第12回日本経済政策学会の国際学会では、「移行経済における経済発展と制度」という題目の下で、研究発表した。ここにおいても世界経済のグローバル化の中で、制度の確立がどの程度経済成長に与えるかを実証的に明らかにした。国際化という観点から考察すると、国内の基準をどの程度国際的基準に合わせていくかが問われる。研究発表では市場化に向かうなかでの制度の質に焦点をあわせたが、移行経済における人の動きも考慮に入れたモデルの検討は、次年度の研究に委ねられる。今後は、中国やベトナム・モンゴルなども考慮した包括した枠組みの中で、制度や人口移動・世界基準への収斂の影響などを考察したいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
二つの国際学会で研究発表して、討論者や学会に出席した先生方から多くのアドバイスを頂いており、これまでの研究の確かさを確認するとともに、今後の研究の方向性も見えてきている。また研究発表した論文は、その後修正を重ねて論文としてまとめており、雑誌に記載予定である。
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今後の研究の推進方策 |
国内の人口移動を考える場合、経済が発展してくると、経済要因(賃金格差)だけで人口移動が生じる程度は、小さくなると考えられる。さらに高齢化社会が進んできている今日、どのような場所が選択されるかが、大きなポイントなる。今後は、高齢化・少子化社会の動きの中で、どのような都市に人口の集積が起こるか、さらに高齢化社会と国際化をどのような形で結びつけるのが望ましいかを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
年度末に海外出張が入り、執行額が確定する時期が遅くなったこともあって、予算額を少しばかり残すことになったが、次年度の予算執行において当初の計画を変更するほどの問題はなく、順調に予算を執行できると考えている。 参考図書の購入に当てたいと考えている。
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