研究課題
本研究課題では、人的資源や経営資源に限界を抱えている地方自治体を調査・研究対象として、新しい都市間連携のあり方を検討した。近隣や隣接した都市同士では、人流(観光)や物流の取り合いになり、従来の広域行政は機能しにくい。空間的に離れた2つ以上の都市を対象に、地方都市同士の連携による地域発展の意義を理論的に考察し、その効果を現地調査による事例研究や計量分析による実証研究に基づき追究してきた。平成27年度は、昨年度、インバウンドと国際的な都市間連携の実態や意義を経済学的に考察し、国内雑誌に投稿した論文に関して、査読結果を受けて再投稿した。この関連で、インバウンドと国際的な都市間連携の関係に関する分析を行い、国際的な都市間連携は、安全安心をはじめとして地域に対するある種のサーチコストの低減を通じて、インバウンドの増加に寄与していることを示した。また、クルーズ旅客を対象とした寄港地に対する魅力度評価のために門司港で聞き取り調査を実施し分析を行い、観光案内の充実度が高く評価されており、受け入れる地方自治体としては、観光案内のコンテンツを充実させていくことが重要であることを示唆した。これらの成果は、ワーキングペーパーにまとめ、今後、学会報告や投稿を行う予定である。次に、震災復興(防災を含む)や国際的な開発援助と都市間連携に関する現地調査や共同研究を実施し、域内連携、広域連携、都市間連携がそれぞれ違った効果をもっていることを議論した。これらの成果は次年度中に書籍として出版の予定である。最後に、買物や観光のための消費者行動にともなう域内と域外の交通手段や移動範囲などの調査は、平成25年度に実施したアンケート調査に基づき計量分析を行い報告書にまとめた。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件)
経済地理学年報
巻: 62 ページ: 未定
Institute of Economic Research, Hitotsubashi University, Discussion Paper Series
巻: B No. 44 ページ: pp. 85-118