研究課題/領域番号 |
25590063
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
東田 啓作 関西学院大学, 経済学部, 教授 (10302308)
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研究分担者 |
田中 健太 武蔵大学, 経済学部, 講師 (30633474)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 資源枯渇 / 経験 / 水産資源管理 |
研究概要 |
平成25年度は、本研究の目的達成のために、以下の研究活動を実施した。 ①フィリピン、ルソン島におけるプレ実験:11月20日~25日にかけて、フィリピンルソン島中部(Masinloc, Zambales、およびAgno, Pangasinan)においてプレ実験を実施した。1実験当たり12名の被験者を用い、アンケートの質問項目の妥当性、実験種目の妥当性などを調べた。フィリピン大学教員(Arvin Vista氏)、および大学院生(Elmer Sunaz君)に協力してもらい、調査を行った。特に、経験についてのアンケートの妥当性を確認した。経済実験は、リスク選好、時間選好、社会選好、利他性、互酬性、公共性の選好調査を行った。ここまでのデータ分析によって、資源枯渇の経験が、個人の選好や社会選好(協調性)に有意に影響を与えていることが明らかとなっている。 ② インドネシア、カリマンタン島におけるプレ調査:2014年2月16日~20日にかけて、インドネシアのカリマンタン島Kubu Raya地区において、同様の経済実験とアンケートによる調査・分析が可能かどうかを調査した。インドネシアは国土が広範囲にわたっているため、国内の地域ごとに資源枯渇の状態や経験が異なっていることが調査や聞き取りから明らかとなった。 ③ 追加調査:フィリピンでの、災害や資源枯渇の種類、程度について現地の研究者や大学院生と協力しながら、追加の調査・データ収集を行った。台風、水害など過去の災害の被害状況、被害者数などが収集できたが、これは今後の実験・調査に生かせるデータを集めることができたと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初想定していたフィリピンでのフィールド実験・調査がほぼ確実に実行可能な見込みとなっている。また、並行して日本国内においても同様のフィールド実験・調査を行うことができる見込みとなっている(すでに、プレ実験も行っている)。 また、どのような経験を調査すればよいか、どのように質問をすればよいかという点についても、これまでの追加調査、および現地研究者・大学院生とのディスカッションから明らかにすることができている。 このため、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、以下のプロセスで研究を実施する。 ①フィリピンにおける本実験・調査:5月11日~16日パラワン島、8月5日~10日 ルソン島中部、8月11 日~16日ミンダナオ島ジェネラルサントス周辺。被験者総数は、それぞれの地域で64名(16名@セッション×4セッション)で合計192名の予定である。 ②インドネシアにおける本実験・調査:8月23日~9月4日 スラウェシ島マナド周辺、およびカリマンタン島、10月30日~11月5日ジャワ島中部。被験者総数は、それぞれの地域で48名(16名@セッション×3セッション)で合計144名の予定である。インドネシアでは、午後に漁業がおこなわれるため各調査日午前中の実験実施となる。 ③データ解析:説明変数に資源枯渇の経験、災害被害の経験、個人属性をとり、被説明変数には個人の様々な選好をとって分析を行う。 ④学会発表、ディスカッションペーパーの発行:経済実験のデータ分析、協調行動の理論分析のそれぞれについて論文を執筆し、ディスカッションペーパーの形で発行する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究の目的は、フィールド実験・調査によって、漁業者の選好を抽出し、経験と選好との関係を明らかにすることである。したがって、フィールド実験・調査にかかる旅費、および被験者謝金が主な支出項目となる。 順調に進展したものの本実験自体は平成26年度に集中して実施する予定である。このため、次年度使用額が発生した。 5月にフィリピン・パラワン島で実施するフィールド実験・調査、および8月にフィリピン・ルソン島、ミンダナオ島で実施するフィールド実験・調査にて使用する。
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