研究課題/領域番号 |
25590069
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
秦 劼 立命館大学, 経済学部, 教授 (40329751)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 後悔理論 / 感情と投資 / 神経経済学 |
研究概要 |
本年度は、感情が意思決定に与える影響に注目し、後悔と証券投資に関する理論モデルの構築に取り組んだ。まず感情が意思決定に影響を与える際の神経的・心理的メカニズムおよび実験結果に関しての、神経学、心理学、神経経済学諸分野の関連論文と資料の収集整理を行った。感情を投資理論に取り入れる必要性を明らかにすることができ、新しい理論モデルを提出する準備を行った。 感情と意志決定に関する研究状況を概観した上で、後悔という感情に焦点を絞って考察を進めた。後悔に関する既存の理論はその前提条件やモデルの枠組みなどにおいて証券投資理論と大きな隔たりがある。本年度は、まずこの問題の解決に取り組んだ。既存の後悔理論をより一般的な状況へと拡張すると同時に、リスクや情報非対称性などの金融市場の特徴を反映するような理論的枠組みを構築した。それによって、後悔が証券投資に与える影響に関する理論分析を可能にすることができた。 さらに、近年の神経学と心理学での発見をモデルに取り入れた。特に実験結果が示した「行動への後悔」と「無為への後悔」の違いに注目し、両者を区別できるような後悔関数を考案した。日常生活では、人々は間違った行動をした時のみならず、正しい行動をしなかった時にも後悔を感じる。金融市場では、「行動への後悔」と「無為への後悔」違いはより顕著である。今年度の研究で考案した後悔関数は、「行動への後悔」のみならず、「無為への後悔」も測ることができる。この後悔関数を用いることによって、バブルの形成期によくみられる「投資しなかったことへの後悔」や金融危機の後に感じる「投資したことへの後悔」などを分析することができるようになった。 上記の研究に通して、今年度は後悔が投資行動および市場に与える影響を分析する際に必要な理論的枠組みを構築した。研究成果は米国のワシントン大学のセミナーなどで報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度に取り組む予定の研究課題をおおむね解決できた。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に沿って、後悔と投資に関する理論分析を進める。証券市場のバブルや暴落などの現象についても考察を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
2014年3月に統計ソフトウェア(Stata)とMicrosoft Office Professionalを購入したが、会計処理が遅れたため。 統計ソフトウェア(Stata)とMicrosoft Office Professionalの購入分にあてる
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