研究課題/領域番号 |
25590074
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
依田 高典 京都大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (60278794)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 計量書誌学 / サイエンスリンケージ / リサーチアドミニストレーター |
研究実績の概要 |
本プロジェクトでは、学術的価値を持つ科学研究と産業的価値を持つ科学研究には、同様の傾向があるのか、あるいは学術的価値では強いインパクトを持つが産業的には活用できないのか、反対に学術的価値は低いが産業的に強いインパクトを持つ研究があるのか等を明らかにする。 2013(H25)年度では、A)学術的・産業的価値の指標化、B)サイエンス・リンケージ生成メカニズムの解明、2014(H26)年度以降では、C)アカデミック・イノベーション・マネジメントの確立、D)サイエンス・リンケージ分析の社会的実装化に取組む。 本プロジェクトでは、2014(H25)年度以降、成果の実装・定着に向けたアプローチとして、次のような取組を行った。2014年までの研究成果を大型競争的研究費を獲得した研究チームがイノベーション・マネジメントに活用する手法を確立する。具体的には、京都大学経済学研究科(依田高典教授・後藤励准教授・後藤康雄准教授)・物質-細胞統合融合システム拠点(iCeMS)(仙石慎太郎准教授)・経営管理大学院(若林直樹教授)が共同運営する文理融合型の大学の研究開発活動促進のプラットフォームである「アカデミック・イノベーション・マネジメント研究会」を母体とし、世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)における研究経営をサポートする。 具体的には、世界的にも注目の高いES/iPS細胞の基礎研究と再生医療に向けた応用開発のサイエンス・リンケージをつなぐための研究経営・研究支援のための討議を行い、iCeMSの国際認知度を高めたり、WPI事後評価に資するような計量書誌学的エビデンス提供を行う。iCeMSのイノベーション・マネジメント室は次世代のイノベーションを担う人材に対してアントレプレナーシップ及びリーダーシップの涵養を図るための教育プラットフォームを開発・実践・提案しており、実装化された成果は研究経営手法としての一般性が高い。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1) 2014年8月28日に、「京都大学WPI-iCeMS・経済学研究科 共催ワークショップ エビデンスを活用したアカデミック・イノベーション・マネジメント」を開催した。開催趣旨は以下の通り。「近年、日本の科学技術政策において、21世紀COE、グローバルCOE、世界トップレベル研究拠点(WPI)プログラムなど、大型研究プロジェクトが積極的に運用されています。京都大学WPI-iCeMS・経済学研究科では、アカデミック・イノベーション・マネジメント研究会を定期的に開催し、大型研究プロジェクトの評価・運営手法を学術的に研究してきました。本ワークショップでは、これまでの研究成果を発表すると共に、有識者との意見交換を行います。」 (2) 今までの研究をワーキングペーパーとしてまとめ、以下の通り、公刊した。 Fukuzawa, N. and T. Ida (2014) “Science linkages focused on star scientists in the life and medical sciences: The case of Japan” Project Center, Graduate School of Economics, Kyoto University, Working Paper E14-006.
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今後の研究の推進方策 |
2015年までの成果を土台にして、優れた研究成果をイノベーションにつなげる仕組みを実装化するために大学間ネットワークを活用する。具体的には、京都大学学術研究支援室ならびに当室が参画している日本の主要大学ネットワークを利用し、個別の大型研究プロジェクトの研究経営のベスト・プラクティスを共有し、将来の研究経営の向上を目指すワークショップを開催する。 さらに、「科学技術イノベーション政策における『政策のための科学』基盤的研究・人材育成拠点整備事業」(大阪大学・京都大学)の教育プログラムと連携して、将来のリサーチ・アドミニストレーター人材育成に取組む。そこでは、大学の知と社会の知をつなぐ「社学連携」の実践と、そこに学生が主体的に関与することも含めた教育を目指し、一般市民やNGO/NPOなど市民社会の公共的関与活動への参画を促進することにより、地域社会のニーズや事情、課題をより的確に反映した科学技術イノベーション政策や研究開発の立案・企画に貢献していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2015年度は、今までの研究成果の取りまとめとマネージメントの確立に積極的に取組むために、そのための経費を一部積み残した。特に、研究成果の取りまとめに当たって、文部科学省 科学技術・学術政策研究所 福澤尚美の計量経済分析を充実させる必要があり、そのための経費を2015年度支出計画に予定に織り込んだ。
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次年度使用額の使用計画 |
2015年度においては、一部、分析を積み残した「サイエンス・リンケージ生成メカニズムの解明」を完了すると共に、「アカデミック・イノベーション・マネジメントの確立」、「サイエンス・リンケージ分析の社会的実装化」に取組む。
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