昨今、日本企業の海外展開には、製造業のグローバル化に加え、サービス業のグローバル化が強く求められている。本研究は、そのようなサービス業のグローバル化を担う人材の適性について考察したものである。 第一に、ビジネスパーソンの業務遂行能力を評価するひとつの手法である、「アセスメント・センター」について、この手法がどの程度人材の将来性を予測できるか(予測的妥当性)について、日本の事例を分析した。結果として、世界水準と比べても遜色のない精度を持っていることが確認された。 第二に、職能別に見た場合の、将来性予測のキーポイントの違いを考察した。結果としては、職能ごとに、キーとなる評価項目が異なっていることが確認された。このことは、全社一律にアセスメント・センターを適用して人材評価を行うことの潜在的危険性を示唆している。 第三に、最終年度には、海外赴任中または海外赴任経験のあるビジネスパーソンに対して海外赴任に関わる満足度・達成感を質問紙(アンケート)を用いて調査し、その結果とアセスメント・センターからの所見の関係性を分析した。結果、調査対象者が現時点で感じている、海外赴任に関連した「キャリア開発」および「職務満足度」について、アセスメント・センターの所見と特に高い関連性が見いだされた。 *最終年度に収集したデータについては、分析を継続中である。本プロジェクトに関連して、口頭発表や論文の出版を引き続き実施してゆく。
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