研究課題/領域番号 |
25590078
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
源島 福己 長崎大学, 国際教育リエゾン機構, 教授 (50646784)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | グローバル人材 / グローバルマネジメント / 日系中小企業 / 海外駐在 / ASEAN諸国 / 非英語圏 |
研究概要 |
今年度はASEAN等のアジア諸国に進出している日本の中小企業、特に長崎を中心とした九州地方に存在している企業を長崎経済研究所の協力を得てピックアップした。その後ASEAN諸国の中で非英語圏と思われるベトナム、タイ、インドネシア、ミヤンマー、マレーシアを対象国として、海外で生産拠点や販売拠点を持っていると思われる日系中小企業の進出が行われている国の中で、第一Gとしてベトナム&タイを選定、その次に多いと思われる先を第二Gとしてマレーシア&インドネシアとして、それぞれの国に海外拠点を持つ日系企業へのコンタクトを行った。その際のポイントとしては実際に日本人社員が駐在または出張等で長期滞在しているかどうかに置いて、電話で確認を行った。本プロジェクトは、国内の本社を訪問し、まず本社の人事部等にグローバル人材育成がどのように会社の成長戦略とりわけ海外戦略の中に位置づけられ、それを担う人材の育成がどのように行われているかを確認することであるので、国内の本社等の考えを踏まえて、実際の人材教育がどのような形で実施されているのかを、現地訪問によって海外駐在員に直接インタビューすることで確認するというプロセスを予定している。したがって、最終的には海外拠点への訪問や駐在員へのインタビューを許容してくれる会社を発掘することが重要な課題となったが、残念ながらこれに協力してくれる企業は決して多くなかった。その中で海外拠点訪問可能な先を選択した結果、今年はベトナムに進出している企業に的を絞った。タイについては国内の政治状況・治安状況の回復を待って企業訪問する予定であったが、バンコクの治安が回復しなかったことから今回は出張を見送っので今回訪問できた国はベトナムのみとなり、協和機工及びエトウの2社を中心に平成25年9月と平成26年2月にベトナム拠点を訪問し、その他数社の駐在員や現地採用の日本人社員へのインタビューを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究の達成度は略80%と自己評価している。本プロジェクトは、企業の国内及び海外拠点訪問を伴うことから、企業のビジネスにおける閑散期を狙い訪問の受入れを依頼したが、それを断られたケースも多く、予想に反して海外拠点訪問のアポを取り付けるのが難しかった。また比較的企業進出が多いタイへの出張は、国内の治安の悪化もあって回避せざるを得なかった。そのため当初予定していた、ベトナム以外のASEAN諸国3~4か国を訪問して、そこに実際に駐在等で働く日本人にインタビューすることはできず、ベトナム進出企業を2回に分けて行うことになった。海外日系企業の訪問を謝絶された理由としては、海外拠点が極めて少ない日本人によって経営されており、そうした邦人のインタビューについては時間が取れない、またある製薬関係の企業においては研究や製品への影響等の懸念から訪問を認められないというものであった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、初年度がASEAN諸国、二年目がインド、スリランカ、バングラデッシュ、トルコ等の西アジアや中近東諸国、三年目がエジプト、チュニジア、モロッコ、南アフリカ等のアフリカ諸国への海外進出を果たしている日系中小企業への海外出張を予定している。対象として選定した国は、基本的には非英語圏を中心とする予定であり、そうした国々における中小企業進出の実態を把握し、そこでどのようなグローバル人材育成がなされているかを実際に海外拠点を訪問し駐在員にインタビューする方法で調査する予定である。ただし現在予定している国の中には革命や局地紛争を含めた政治的な問題から治安が悪化し、訪問するのに困難と判断される国も出てくる可能性があるため、当初の予定通りに事が運ばない懸念も大きい。また本研究が授業の合間を縫って行わなければならない関係上、そうした国に進出している日系企業の協力を得られるタイミングとの兼ね合いもあり、予定通りに進まないこともある。今後は初年度の経験を踏まえて、現地日系企業の日本人会やJETRO等の協力を仰ぎながら、協力していただける日系企業を発掘していきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度はベトナムのみならずタイやインドネシア等への出張を計画したが、結局ベトナムを2回訪問するにとどまった。そもそもこのプロジェクトは訪問国や訪問先の決定が、国の治安状況や訪問予定の日系企業の訪問受諾を取得できるかどうか、何社それによって訪問できるかによって支出額も大きく変動し、正確な予想が事前に困難である。今回実際に訪問先が決定した段階で予算を使い切る予定であったが、そうした事情もあり予定通りに旅費を消化することができなかった。 初年度の未使用額は約54千円となったが、これは二年目に西アジアや中近東諸国への海外出張を予定していることもあり、そうした国々への出張旅費に回すことで使用したい。
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