研究課題
広島での神楽や愛知のからくり山車祭り等を、「地域の資源」ととらえ、そのさらなる開発を図るなかで、地域人材の育成と地域の発展をはかるため、新しい経営学「地域資源開発経営学」の構築をめざし、全国学会「地域資源開発経営学会」を組織し、2015年までに広島で2回、愛知県東海市で全国大会を開催してきた。そのなかで、地域資源であるはずの多くの伝統的祭りや伝統芸能が沈滞するなかで、広島の神楽は隆盛してきているが、それは、神楽団間の①競争と②イノベーションによることが明らかになった。さらに、神楽団間の競争を促進する場の設定があり、それにより、神楽の舞台、演出、舞、調子、衣装、化粧、小道具にわたる多くの面で、イノベーションの相互促進が、全体としての広島神楽の隆盛を支えていることが明らかになってきたので、それを、交互的イノベーションと名付けて、交互的イノベーションが行われる要因、阻害要因を考えてきた。他方、愛知の山車祭りが盛んなのは、愛知の「からくり好き」文化が基底にあり、全国47都道府県のなかで、工業出荷額が、第二位の神奈川県、第三位の大阪府の合計よりも9兆円も多いという抜群の工業だけでなく、農業でも、漁業でも、サービス業でもイノベーション志向が強いことによることがわかった。特に、愛知のイノベーションの特徴的なことは、異質とみられるモノ、コト、発想の、大胆な新結合が多いことである。このようなイノベーション志向が強いのは、①経済的利得獲得意欲が旺盛であること、②経済的利得獲得は、運営・行動における通常の合理化、効率化だけでなく、イノベーションが有効であることを、愛知の人々は相当古くから理解する機会に恵まれてきたことによると考えられる。
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