1.最終年度(28年度)における研究成果 28年度の研究目標は最終総括を念頭に次の4点とした。(1)構築した「感情労働者への組織的支援モデル」の有効性の検証及び強化。(2)「感情労働者への組織的支援モデル」を推進するための、具体的方策の提言。(3)対人サービス現場の感情労働の実態に関するアンケート調査の実施。(先行研究からの知見及びヒアリング調査を基に研究を進めてきたが、定量的側面を補足するために実施)(4)研究成果の発表及び有識者との意見交換による研究成果の精査。 (1)に関しては、感情労働者への組織的支援を効果的に行っている企業・事業体の文献調査及び分析をし、その上で実地調査を行った。具体的には5つの企業の経営者、管理職、対人サービス従事者に聴き取りを行い、構築モデルの有効性を検証した。結果、一定の有効性を確認した。(2)に関しては、個人レベル、集団(チーム)レベル、組織レベルで行うべき効果的な具体的方策を、事前策、事後策に分けて提示することができた。(3)に関しては、Webアンケート調査を実施した。(対象:対人サービス現場で働く500名、20-60代、男女半数、正社員、契約・派遣社員)概して、定性調査を裏付ける回答が得られた。さらに、一部自由回答からは新たな発見もあった。(4)に関しては、有力企業を会員に持つ経営系団体で筆者が行った「感情労働」の講演に対する企業人からの率直な意見、大学院で行った研究発表に対する研究者からの示唆に富むフィードバック等を得ることができ、研究成果の精査に寄与した。 2.研究期間全体を通じての研究成果 本研究の目的は、「感情労働者への組織的支援モデル」の構築でありこの目的は、「モデルの構築」により達成された。また、成果は一定の評価を得て、中小企業庁ポータルサイト「ミラサポ」に掲載された。
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