研究課題/領域番号 |
25590084
|
研究種目 |
挑戦的萌芽研究
|
研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
秋澤 光 中央大学, 商学部, 教授 (60328028)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | ファミリービジネス / ライフストーリー / 定性研究 / 研究方法論 / 国際研究者交流 / 国際情報交換 |
研究概要 |
本研究のプロトタイプとして社会学と制度論を使ったファミリービジネスの形成について、ライフストーリー分析法を試み、国際シンポジウム(Fifth International Symposium on Process Organization Studies 2013年6月)で発表した。哲学と組織論という根本的なレベルでの議論が参考になった。ただし、ライフストーリーの分析・提示についてはフィールド調査が足りず課題が残った。 25年度は、世代間でのライフストーリーの比較法まで完成させる予定であったが、まず国際比較を可能にするため、家族概念を明確にすることとし、関係の予想された家族社会学、社会学、社会・文化人類学、生物学について、概略調査を先行させ、完了した。専門をまたぐ膨大な領域であるため、特に日本の家族とファミリービジネスとを世界の中で比較説明できるという観点に絞った。 また、研究方法論の観点からは、質的研究についてもう一度、基礎を固めなおした。特に人類学の手法といわれるエスノグラフィーと、ライフストーリー法の得失を検討した。また社会学やに複数世代分析のアプローチがあることも把握した。 ファミリービジネス研究については、人類学的アプローチについての先行研究を検討した。 なお年度初に、研究協力を要請予定であったDr.Dharmadasaが、研究代表者の属する中央大学において1年間の研究滞在が決まったため(2013.6~2014.4)、共同研究は順調にすすみ始めている。まずは、ファミリービジネスの経営戦略について、家族概念から分析するアプローチをまとめた。理論的枠組みについての私の原案は共同研究を開始してから、かなり発展した。観点が違うので、非常に参考になった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
複数世代へのアプローチの可能な事例の目処はつけてあったが、日常の仕事における時間的制約があり、本研究で不可欠となるフィールド研究が十分にできなかった。特に4月~7月の春学期は多忙を極めてしまった。夏休みも学生対応で正味10日ほどしか投入できなかった。今期は専門を同じくし研究戦力となる大学院生が少ないのも痛手であった。研究がたびたび中断されるため、手戻りも大きかった。
|
今後の研究の推進方策 |
26年度は、研究に投入できる時間を確保できる見込みのため、対象事例を理論に基づき選定し、フィールド調査を実施したい。(社)ファミリービジネス研究所における事例研究を担当することにしたので、うまく機会を生かしたい。 2014年6月に米国ポートランドで開催される第10回FERC(Family Enterprise Research Conference)において、研究協力者であるDr.Dhamadasaとの共同研究がアクセプトされたため、発表を予定している。FERCでは、今後の研究協力者を家族の多様性の観点から欧米、中国等で見つけたい。またボードメンバーのDr.SharmaとDr.Stewartとの議論も期待している。 米国経営学会(Academy of Management)では、知人のファミリービジネス研究者が共同プロジェクトを提案してきたので、これも機会とできるかもしれない(今年度参加は未定)。 FERCの発表内容は、共同論文としてまとめなおし、英語で出版を予定している。 世代間ライフストーリー分析の方法論については、日本語での出版を予定している。
|
次年度の研究費の使用計画 |
フィールド調査が進まなかったため、それに伴う、国内出張旅費、調査結果書き起こしの人件費が発生しなかった。 フィールド調査の結果の書き起こしと、国際比較研究としての成果を出すため、研究協力者の学会発表出張を予定している。
|