研究課題/領域番号 |
25590093
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
栗木 契 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (90294397)
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研究分担者 |
吉田 満梨 立命館大学, 経営学部, 准教授 (30552278)
水越 康介 首都大学東京, 社会(科)学研究科, 准教授 (60404951)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | マーケティング / リフレ-ミング / エフェクチュエーション / 不確実性 / 相互依存性 |
研究実績の概要 |
本研究では、マーケティング・リフレーミングという萌芽的概念を、さらに実践を支える理論として定式化していくことを目的に、制約をリソースに転じたマーケティングの諸事例を収集し、「意味の厚さの記述」によるプロセスの重層的理解に取り組もうとしている。 今年度は、アントレプレナー理論におけるエフェクチュエーションとコーゼーションという概念に注目し、研究代表者と分担者が参加して、これらの概念が実践にもたらす意義の問題を中心とした振り返りの討議を行うとともに、共同研究会の場をもうけ、企業及び大学の研究者との新たな連携のなかで理論問題の検討を進めた。そのなかで、不確実で相互依存的に構成される市場において、エフェクチュエーションはコーゼーションを補完することを見定めるとともに、エフェクチュエーションを大規模組織に導入しようとするときに必要となる組織インフラについての検討を重ねることにした。 加えて、今年度は、研究代表者と分担者が分担して、理論と現実の関係を検討する素材としての複数の事例の収集につとめた。具体的にはコニカ・ミノルタ、サントリー、リクルート、オリックス・バッファローズ、セブン・イレブン、ヤフー、シナジーマーケティング、着物産業の各企業・産業のマーケティング事例に関する資料の収集、および記述を行った。また前年度に調査した企業事例のフォローアップ的な検討も行った。今年度は、これらの事例記述を上記の理論課題と照らし合わせて検討することで、定説的なマーケティング理論とは異なる示唆を導くことができた。なお、それらを体系づける総合的な検討については未完成であり、今後の課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画を拡大するかたちで研究を進めることができている。 理論研究、事例研究を有機的な関連性をたもちながら並行して進めることができた。これらの理論研究と事例研究については、論文やエッセイとして、複数の学会誌や各種媒体上に公刊するとともに、学会ではテーマセッションをもうけての発表を行い、関連分野の研究者との交流を深め、知見の拡大につとめた。 加えて、関連分野の研究者との新たな連携を構築できたことは、今後の研究の進捗に貢献するものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度には、平成26年度までの研究を引き継ぎ、これまでの事例研究のフォローアップ調査を行う。2年間に渡る調査にもとづく記述と分析の結果をとりまとめることによって、マーケティング・リフレーミングおよびエフェクチュエーション概念の可能性を明らかにするとともに、「意味の厚さの記述」という方法自体の有効性についても確認する。加えて、われわれが研究を進めるなかで明らかになってきた、エフェクチュエーションを大規模組織に導入しようとするときに必要となる組織インフラという課題について、探索的な事例研究を進め、体系的に問題を理解する道筋をつけることをめざす。 加えて平成27年度には、本研究課題における研究成果を論文としてまとめるとともに、国内外の学会報告、および国内外の査読つき論文雑誌への投稿を通じた研究成果の発表を行う。その際には、国内外の研究者からのレビューを受けることで、分析水準を高めることをめざす。
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次年度使用額が生じた理由 |
日本マーケティング学会より、研究会開催の助成を受けたため、人件費の使用計画に見込み違いが生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は計画をより精査し、確実な執行につとめる。
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