研究課題/領域番号 |
25590102
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
與三野 禎倫 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (80346410)
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研究分担者 |
山崎 尚志 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (30403223)
中岡 孝剛 近畿大学, 経営学部, 講師 (50633822)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 特許権 / 知的財産権 / 技術評価 / 特許価値評価モデル |
研究概要 |
本研究の目的は,特許権等の経済的価値評価モデルを,財務諸表の数字や市場の評価の数字を基礎としたものではなく,すなわち基礎となる資料から幾十もの工程を重ねて再計算・再集計された数字ではなく,技術や,それが外部の経済主体から権利保護された特許権自体に関わる,実態により近接した数字を基礎とした経済的価値評価モデルを研究期間内に提示することである. そこで平成25年度は,特許権等の経済的価値評価モデルを,特許権自体に関わる特許の早期審査請求,不服審判請求,閲覧請求等の自社および他社のアクションに着目することによって,どのような自社および他社の経済的行動が特許権の“力”に結びつくかを実態的に調査した. 具体的には,第一に,パイロット企業へのインタビューを通じて,自社および他社の特許に関するアクションのデータベースを構築した,データベースは,つぎの項目である.請求項の数(自社),全頁数(自社),早期請求出願(自社),外国出願(自社),分割出願回数(自社),面接回数(自社),閲覧請求回数(自社・他社),情報提供回数(自社),異議申立(他社),無効審判回数(他社),出訴上告(自社・他社),訴務判決(自社・他社),被引用文献数(自社・他社),発明者被引用文献数(自社・他社),他社被引用文献数(他社),他社発明者被引用文献数(他社). 第二に,これらの項目を,統計的な分析によって,(1)特許性・侵害発見性,(2)排他性(特許的に守られる範囲),および(3)利益性(特許貢献利益額予想)といった概念に集約した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は,特許権自体に関わる特許の早期審査請求,不服審判請求,閲覧請求等の自社および他社のアクションに関する項目のデータベースを構築するとともに,これらの項目を,統計的な分析によって,(1)特許性・侵害発見性,(2)排他性(特許的に守られる範囲),および(3)利益性(特許貢献利益額予想)といった概念に集約した.これらの特許に関するデータベースの構築と統計的分析は,最終目標である特許価値評価モデルを研究期間内に提示することを可能にする.したがって,現在までの進捗状況は良好であると判断する.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は,平成25年度の特許権に関するデータベースの構築と統計的分析を基礎として,つぎの実証研究を実施する. 1. 各特許の特徴量が,企業の財務的な収益性,たとえばROAやROEにどのように関連しているかについての時系列的な検証. 2. 各特許の特徴量が,企業の長期的な株価パフォーマンスにどのように関連しているかについての時系列的な検証. そして,研究成果を中間報告書(英文)としてまとめ,国際的な学会やセミナー等で報告することによって,わが国での「知的財産の保護と活用のディスクロージャーに関する実証的研究」として積極的に提言を実施する.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は,パイロット企業の特許データに関して,特許庁等の外部アクセス可能なデータを基礎としてデータベースを構築するとともに,統計分析を実施した.一方,平成26年度は,企業の財務および株価データを入手することによって,特許権の特徴量と企業のパフォーマンスに関して時系列的な検証を実施する.当初,平成25年に計上していた企業の財務および株価データに関する費用,研究調査に関わる国内旅費および外国旅費,研究補助員の人件費および専門的知識の供与は,多くが平成26年の調査研究の段階で必要となったために,繰り越しを実施した. 平成26年度には,企業の財務および株価データを入手することによって,特許権の特徴量と企業のパフォーマンスに関して時系列的な検証を実施する.このとき,主につぎの費目を調査研究によって使用する.1. 企業の財務および株価データに関する費用,2. 研究調査に関わる国内および外国旅費,3. 研究補助員の人件費,4. 専門的知識の供与.
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