研究課題/領域番号 |
25590104
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研究機関 | 武蔵大学 |
研究代表者 |
荒田 映子 武蔵大学, 経済学部, 教授 (00386351)
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研究分担者 |
下川 拓平 武蔵大学, 経済学部, 教授 (00267337)
神楽岡 優昌 武蔵大学, 経済学部, 教授 (40328927)
井上 健一 駒澤大学, 法学部, 教授 (60287852)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 協力ゲーム / 主観確率 / 情報構造 / 慣習の制度化 |
研究実績の概要 |
各メンバーは、「制度設計」に重要な要因についてそれぞれの観点から研究をおこなった。 荒田は減価償却ゲームを精緻化し、減損会計の妥当性を分析した。(未公表)また会計の情報としての側面に着目し、情報構造の観点から検討も行った。(IWEIにおける報告「会計基準の不可能性定理と規範研究」)下川は、制度が有する本質としての、ゲーム論的行動への干渉をいかに制御すべきか、という原理的研究に着手しており、その文脈での「行動」への、なされるべき洞察を述定する作業を開始した。まず古典的な論争(Kadane and Larkey, 1982)を詳細に検討し、その中で含意されている「規範的」行動基盤と、「実証的」行動傾向との対立、を、主観確率と Bayesian Updates の文脈で分析し、これらにもとづき、まずは上記論文中、主観主義によって妥当とされる、実証研究による行動分析の主張を、批判検証した。(武蔵大学論集掲載予定)神楽岡は国債のリスクに対する伝統的な見方を否定し、国債に内在するさまざまなリスクを定量的に測定し、国債に関するリスク の見方に革新を迫る研究をおこなった。(公表済み)これは会計制度設計のさいに考慮される「割引率」について重要な示唆をもたらすといえよう。井上は、海外との貿易において決済手段として利用される「信用状」を題材にして、国際的な取引ルールと国内のルールの違いを判例から分析することでどのようなルールがどのような状況下で妥当であるかを分析している。この成果は会計基準にも応用できると考えられる。(ジュリスト掲載予定) また「経済制度の学際的ワークショップ(IWEI)」を4回開催し、フィールドワーク(文化人類学)、ゲーム理論、経営史の観点から、「慣習の制度化」について議論する機会を得た。 (詳細はhttp://iwei.barrel-of-knowledge.info/参照)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
会計事象を対象とした研究を、専門外のメンバーに遂行してもらうための勉強会、個々の擦り合わせは適宜行ってきたが、とりまとめ役の荒田が平成26年度後期より妊娠により体調を崩し、全体をまとめるような研究会、公表物の作成ができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は育児休業にともない、いったんプロジェクトを休止する。ただし、荒田以外の各メンバーは平成26年度の研究成果の一部を27年度に公表する予定である。また、経済制度の学際的ワークショップは引き続き開催予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
とりまとめの荒田の体調不良(妊娠)により、メンバーとの研究打ち合わせが当初の予定通り進まず、シミュレーションに必要な機器を購入するに至らなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
育児休業中に、荒田以外のメンバーは打ち合わせを行い、シミュレーションに必要な検討事項をつめる予定である。復帰後、ただちに必要な機器を購入する。
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