平成26年度は最終年度であり,昨年1年間で実施した研究について更なる検討を行った。 まず,長吉は,当初の計画ではアメリカ・ニューヨーク所在のAICPAとIFAC等を訪問して,監査・保証業務に関する認識,方法,保証業務意見の表明方法等について意見交換する予定であった。しかし,昨年度は世界会計士会議の開催年に当たり,AICPAとIFAC等から対応が難しい旨の連絡があり,訪問と意見交換を断念した。そこで次善の策として,オーストラリア勅許会計士協会を訪問し,監査・保証業務に関する統一規準の策定について検討した。そしてその結果の研究成果として,保証業務実施者の人的基準に関し,監査基準・一般基準とJICPA倫理規則とを対照しながら「保証業務実施者の人的基準」という論文に取りまとめた。 伊藤は公監査に関する研究として,地方自治体における監査委員を取り上げ,①監査委員の人数,内訳,報酬等,②監査基準設定の有無等,③定期監査,④決算監査について詳細なアンケートを実施し,その結果を分析した,そしてその成果を本務校の紀要や市販の雑誌で論述したほか,全国都市監査委員会総会(「今後の監査委員監査のあり方~監査品質の向上、様々な視点から~」)や,大学監査協会の研究会議(「監事監査と内部監査との連携~大学におけるガバナンス機能強化のために~」)等で招待され講演した。 竹原は,実務家の視点から「合意された手続」を取り上げ,合意された手続の中心的な業務であるコンフォートレターの作成業務について,日本ではコンフォートレターの作成業務は非保証業務であるとされているのに対し,アメリカでは保証業務と規定されていることの違いとその根底にある思考の相違について研究した。そして,この研究成果は「『合意された手続』と保証業務の近接点」という論文に取りまとめ公表した。
|