本研究は、岩手県沿岸地域で複数回の震災にみまわれながら、岩手県沿岸に生活し続ける15名の女性たちのライフヒストリーを収集し、家族の再生や新たな家族形成とその再生に有効であった家族資源・地域資源を明らかにすることで、家族の生き残り戦略と地域社会の再生とがどのようにかかわっていくかを考察するものである。この聞き取り調査と並行して、本研究では、昭和8年当時の官公庁資料や国勢調査、新聞記事等から震災当時の社会的状況とを対照した。本研究で明らかになったことは、義捐金や弔慰金が次世代の教育費や仕事の元手になっていることが語られ、地元で生活を継続する次世代の「生業」につながったことであった。
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