研究課題/領域番号 |
25590114
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
上野 加代子 徳島大学, 大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部, 教授 (50213377)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 家事労働者 / domestic workers / Facebook / SNS / シンガポール / フィリピン / インドネシア / 労働運動 |
研究実績の概要 |
本科研の調査対象であるFacebookグループ(HOME Gabriela, HOME Kartini )上の書き込み等データの分析に加えて、運動に関わっているシンガポールのNGOの創設者やFacebookグループの管理者やメンバーへのインタビュー調査を重ねた。 また、このFacebook運動が勝ち取ったひとつの運動成果である、フィリピンのPOEA違反のケースの費用返還運動の内実をマニラのNGOで調査し、平成27年2月末までの返還ケースの全情報(申請者、変換金額、エージェンシー名等)をケースごとにデータ化するために、聴き取り調査も行った。 さらに、外国人家事労働者の日本への入国政策が決定したことをうけ、オンラインによる組織化が可能かどうかについて、日本で関連する外国人支援NGO等で情報収取を行った。 さらに、外国人介護士の入国政策も決まっていることから、フィリピンやインドネシアからの介護士を受け入れる予定の介護事業所にもインタビューを実施した。 これらの研究は、「シンガポールの外国人家事労働者」(松岡悦子編 勉誠出版、印刷中)の原稿に組み入れ、World Congress of Sociology(横浜)、国際ーワークショップInternational Workshop on Intimate Lives and Intimate Laborers(早稲田大学)で報告した。そして、現在、From a Closet in the Employer’s House: Facebook Activism and Networking among Foreign Domestic Workers in Singapore の論文を社会学系の英文誌に投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25当初は、Facebookのグループの過去の書き込みデータの取り出しに難航したが、平成25年の夏に業者委託をすることにし、すべての書き込みデータ(添付を含む)の入手が容易になった。フィリピン人家事労働者からなるグループでは、その後、平成27年1月末時点、10万件を超えるデータを分析することができた。それらの結果は、国際学会等で随時、報告してきた。 ただし、テキストデータのロジスティック等の分析においては、省略形のSNS英語が多いため、出力されたグラフに対して、意味ある解釈ができていない。またインドネシアのグループのほうは、インドネシア語と英語が混ざっていることから、現時点はフィリピン人家事労働者のグループを中心に分析を行っており、その意味では研究課題が残っている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、手つかずのインドネシアグループのデータの分析を、NGO(HOME)のインドネシア人スタッフと共同で実施する予定である。 また、このFacebook運動の大きな功績である、フィリピンのPOEAの規定にそったエージェンシー費用違反運動について、平成27年度中に日本への入国が予想されるフィリピン人家事労働者ならびに介護労働者の状況に照らして分析できればと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
所属大学学部の改組による入試改革業務により、予定していた研究出張がすべてこなせなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は、4月においてすでに2度、次年度使用額156,898円で調査出張をこなしている。 夏休みと冬休みにそれぞれ出張を行う予定である。 またインドネシア人のフェイスブックのグループのデータにおいて、追加のデータ取得と分析を業者に委託する予定である。
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