研究課題
本研究は、外出機会が制限され、構造的にもっとも孤立しやすいとされる住み込み外国人家事労働者が、シンガポールという政治的な自由が制約されている就労国で、Facebookを利用して自分たちを組織化し、親密圏を構築し、社会運動を展開して一定の成功を押さめている事例を、Facebookの書き込みをデータ化し分析することで検討することが目的であった。本研究が主に分析対象としたのはフィリピン人家事労働者からなるHOME GABRIELAであり、創設時にさかのぼってFacebookの書き込み等の10万件以上のデータを収集し、エクセルに落としデータセットを作成した。研究結果はデジタルなソーシャルネットワーク媒体であるFacebookが、その手軽さと楽しさゆえに、社会運動参加のコストを下げるかたちで、就労地で周辺化されている外国人労働者のサイバーアクティビズムにつながることを明らかにした。さらに、外国人による住み込み家事労働者の問題点としてこれまで指摘されてきた密室の労働場所や労働実態の見えにくさといった特徴が、Facebookの労働運動においては利点となりうることを明らかした。研究結果は、今年度は、英文誌にFacebook Activism and Networking among Foreign Domestic Workers in Singaporeのタイトルで論文投稿中であり、2016年、5月にはマカオでの国連大学のICTとマイグレーションの国際会議で発表(招待講演)することが決まっている。
すべて 2016 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)
『家族とリプロダクションのオールターナティブデザイン』(松岡悦子編)勉誠出版
巻: - ページ: 印刷中
M-ネット Migrants Network
巻: 186 ページ: 28-29
Intimate work and international migratoin, Asato Wako (ed) Brill
『親密性の労働と国際移動』(安里和晃編)京都大学出版会
http://web.ias.tokushima-u.ac.jp/socio-ueno/