研究課題/領域番号 |
25590116
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
江本 純子 県立広島大学, 保健福祉学部, 准教授 (10582380)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 障害者雇用 / ディーセントワーク / 就労支援 / 労働政策 / 障害者政策 / 障害者就業生活支援センター / 障害モデル / ソーシャルモデル |
研究概要 |
研究実績の概要 本研究の目的は、以下3点を明らかにすることである。第1に、障害者の障害特性と仕事のマッチングの支援が重要である点、第2に「障害」が仕事とマッチングしたとき、障害者は、非障害者よりも生産性が向上することもある点、第3に障害者雇用の波及効果として、職場環境が改善し、すべての労働者が働きやすい環境となる点である。この目的を達成するため、平成25年度は、以下の研究を行った。 1 調査研究 研究代表者は、これまで大阪の障害者雇用に関する研究のフィールドとし、府内の就労継続支援施設でも継続的にかかわってきた。平成25年~27年にかけては、就労継続支援事業施設で、参与観察を行い、障害者の障害特性の見極め及び仕事とのマッチングがどのように行われるかを調査する計画であり、25年度も実施した。このほか平成25年度は、大阪府内の障害者就業・生活支援センターの支援者を対象に訪問調査を実施し、障害特性と仕事とのマッチングのポイントについてインタヴューした。 2 文献研究 理論展開の基軸となる障害モデルの国際的動向を検討する。このため、OECD諸国間の障害モデルの違いを明らかにし、障害者雇用政策、および具体的な施策の中にどう反映されているかを比較する。具体的には、OECD関連の文献や、高齢・障害・求職者雇用支援機構の文献等の研究を資料とし、障害モデルの違い(メディカルモデル、ソーシャルモデル)を切り口にして分析する。この分析によって、OECD諸国間の障害の捉え方や、特に障害者雇用の対象となる障害者規定とこれに基づいた障害者雇用政策のありかたを明らかにする(研究は、継続中)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は、調査研究、文献研究の2本柱で研究計画を立てた。まず、調査研究では、参与観察および訪問調査をする予定であった。具体的には、大阪府下の就労継続支援事業施設で、参与観察を行い、障害者の障害特性の見極め及び仕事とのマッチングがどのように行われるかを調査すること、また、大阪府内の障害者就業・生活支援センターの支援者を対象に訪問調査を実施し、障害特性と仕事とのマッチングのポイント等についてインタヴューすることである。この2点について、計画通りに実施し、現在は、分析中である。 文献研究では、理論展開の基軸となる障害モデルの国際的動向を検討することである。このため、OECD諸国間の障害モデルの違いを明らかにし、障害者雇用政策、および具体的な施策の中にどう反映されているかを比較する。具体的には、OECD関連の文献や、高齢・障害・求職者雇用支援機構の文献等の研究を資料とし、障害モデルの違い(メディカルモデル、ソーシャルモデル)を切り口にして分析する。この分析によって、OECD諸国間の障害の捉え方や、特に障害者雇用の対象となる障害者規定とこれに基づいた障害者雇用政策のありかたを明らかにすることである。この研究は、現在も継続中である。
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今後の研究の推進方策 |
26年度は、以下の研究を実施する予定である。 まず、平成25年度に障害者就労生活支援センターの支援者を対象にした調査研究の分析をし、まとめることである。さらに、新たな調査研究として、実際に障害者雇用を行っている事業主とそこで就労している障害者及び障害を持たない職場スタッフを交えたディスカッション形式の調査をし、障害者雇用によって職場環境がとう変わったか、働きやすくなったかを明らかにする。 次に文献研究として、障害者雇用制度対象の「障害」を医療基準でなく、労働能力制限の程度に応じて査定している国を研究し、こうした障害モデルに基づいた雇用支援システムのあり方と現行システムを再構築する方法について明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年計画当初の通りに訪問調査は実施した。しかし、インタビュー調査のため、調査協力者にインタビュー文書原稿のチェックを依頼しているが、一部の返送が予定より遅れている。このため、総括的な分析ができず、調査報告書が作成できていない、これに伴い、調査報告にかかる文書量、印刷代等が当該年度に出費できていないので、翌年度分として請求する。 前年度作成できていない報告書を作成する。また平成25年度の状況をうけて、平成26年度の調査は、訪問調査後の原稿作成、まとめを迅速に図るため、テープ起こし、報告書作成等の大部分を業者委託する。
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