不眠や不安などの症状から精神科を受診したが、治療を通じて悪化したために、断薬をして回復した人たちにインタビューを行った。調査協力者とともに治療過程を振り返っていくと、治療開始時点よりも、体調が悪化していることがわかった。そして、それらは原疾患の悪化ではなく、不適切な治療を通じて生み出される医原性の被害であることがわかった。精神科医療には、不必要な治療や過剰投薬を修正する自律的機能が存在していないため、当事者は治療の悪循環を脱するために断薬を行っていた。精神科医療は不適切な治療による患者への被害を認め、被害者たちに謝罪し、被害防止に取り組むべきである。
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