原発事故で放射性物質が飛散し、長期間、居住が困難となった地域の人たちが、非汚染地域に新都市を建設し、ふるさとの「セカンドタウン」として、二地域居住を法的かつ都市経営のうえからも可能とする制度を提案するのが本研究の目的である。つまり、移住でもなければ、一時的な疎開でもない。居住に適さない「ふるさと」を「母なる地」として保存し、除染を進める一方、旧居住地のアイデンティティとコミュニティの結束を維持しつつ、新天地を「終の棲家」として、新しいまちづくりを進める。戦後のわが国では例のない取り組みを内外の先例から特質を抽出し、現代の法制度・社会構造をベースに応用可能な仕組みの移植を試みた。
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