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2013 年度 実施状況報告書

生涯発達から見る〈貧困化〉のプロセス:参与観察に基づくボトムアップ的貧困研究

研究課題

研究課題/領域番号 25590128
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関高崎健康福祉大学

研究代表者

宮内 洋  高崎健康福祉大学, 人間発達学部, 准教授 (30337084)

研究分担者 松宮 朝  愛知県立大学, 教育福祉学部, 准教授 (10322778)
石岡 丈昇  北海道大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (10515472)
打越 正行  特定非営利活動法人社会理論・動態研究所, その他部局等, 研究員 (30601801)
新藤 慶  群馬大学, 教育学部, 准教授 (80455047)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード貧困 / フィールドワーク / 生涯発達 / 〈生活-文脈〉 / 子ども期 / 青年期 / 老年期
研究概要

本研究「生涯発達から見る〈貧困化〉のプロセス」の目的は、現在進展が目覚ましい貧困研究のさらなる深化にある。阿部彩の研究成果をはじめとして、日本国内における相対的貧困の拡大等は、マクロなデータによって示されている。一方で、研究者自身が貧困の実態に分け入った参与観察や社会調査に基づく知見はまだまだ少ないと言わざるを得ない。そこで、本研究の研究代表者を務める宮内洋が自身の論文「貧困と排除の発達心理学序説」で指摘した点を踏まえて、子ども期・青年期・老年期という三つの発達段階に区分し、本研究の共同研究者たちとともに、各段階における貧困の影響についてミクロな視点から調べた。
それのみならず、共同研究者全員で、日本国内における研究者自身が生身の身体をもって貧困の実態に分け入った参与観察や社会調査に基づく知見を丁寧に検討し、何度も真摯に議論を重ねることによって、二つの共著論文を生み出すことができた。2014年2月に『愛知県立大学教育福祉学部論集』第62号に掲載された「新たな貧困調査の構想のために-日本国内の貧困研究の再検討から-」と、現在印刷中で『北海道大学大学院教育学研究院紀要』120号に掲載予定の「貧困調査のクリティーク(1)-『豊かさの底辺に生きる』再考」である。
共同研究は、各メンバーが独自に調査・研究活動を実施することが多くなりがちであるが、本研究においては、日常的なメールでの情報交換と議論は当然とし、2ヶ月に一度は一堂に会し、これまでのフィールドワークによる知見をぶつけ合いながら議論する研究会を必ず開いた。そこでは、各々のメンバーの社会調査・フィールドワークの成果発表の他に、上記のように先行研究の詳細な検討を通すことによって、本研究の視角等もより厳密化した。このことは共同研究の醍醐味であるとともに、非常に重要な点である。各メンバーが自らの研究を相対化する場ともなるからである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成25年度は、共同研究者の各々のメンバーが、それぞれのフィールドにおいて緻密なフィールドワークを展開することが、当初の計画であった。メンバー間の進展の相違は当然ながらあるが、順調に進んでいると言えるだろう。
それのみならず、上記のように、2014年2月に『愛知県立大学教育福祉学部論集』第62号に掲載された「新たな貧困調査の構想のために-日本国内の貧困研究の再検討から-」と、現在印刷中で『北海道大学大学院教育学研究院紀要』120号に掲載予定の「貧困調査のクリティーク(1)-『豊かさの底辺に生きる』再考」という二つの共著論文を完成させることができた。このことは、2ヶ月に一度、共同研究者が一堂に会して、各々のメンバーによる各々の社会調査・フィールドワークの成果発表だけではなく、先行研究の検討を通しながら、今後の貧困研究の方向性を考える議論を繰り返してきたからである。今後も同様に展開していく予定である。当初の計画は十分にクリアしたと言えよう。

今後の研究の推進方策

平成25年度においては、共同研究者の各々のメンバーが、それぞれのフィールドにおいてフィールドワークを展開するとともに、2ヶ月に一度、一堂に会して、各々の研究成果の発表をするとともに、先行研究の検討を通すことによって、二つの共著論文を完成させることができた。共同研究の初年度としては十分な成果だと思われる。今後もこのペースで、科研費による研究成果を次々に発表していく予定である。

  • 研究成果

    (36件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (19件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 1件) 図書 (8件)

  • [雑誌論文] 新たな貧困調査の構想のために-日本国内の貧困研究の再検討から-2014

    • 著者名/発表者名
      宮内洋・松宮朝・新藤慶・石岡丈昇・打越正行
    • 雑誌名

      愛知県立大学教育福祉学部論集

      巻: 62号 ページ: 123-135

  • [雑誌論文] コミュニティと排除(下)2014

    • 著者名/発表者名
      松宮朝
    • 雑誌名

      人間発達学研究

      巻: 5号 ページ: 43-52

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「平成の大合併」と学校統廃合の関連―小学校統廃合の事例分析を通して2014

    • 著者名/発表者名
      新藤慶
    • 雑誌名

      群馬大学教育学部紀要人文・社会科学編

      巻: 63 ページ: 99-115

  • [雑誌論文] 教員の職務負担と解決方法―群馬県での公立学校教員調査を通して2014

    • 著者名/発表者名
      新藤慶・矢島正・高橋望・青木美恵・柵木みどり
    • 雑誌名

      群馬大学教育実践研究

      巻: 31号 ページ: 137-152

    • 査読あり
  • [雑誌論文] アイヌ子弟への学習支援活動の利用実態と意識2014

    • 著者名/発表者名
      新藤慶
    • 雑誌名

      「調査と社会理論」・研究報告書

      巻: 31 ページ: 62-70

  • [雑誌論文] 伊達市におけるアイヌ民族・文化の位置づけと評価2014

    • 著者名/発表者名
      新藤慶
    • 雑誌名

      「調査と社会理論」・研究報告書

      巻: 31 ページ: 145-164

  • [雑誌論文] 貧困調査のクリティーク(1):『豊かさの底辺に生きる』再考2014

    • 著者名/発表者名
      宮内洋・松宮朝・新藤慶・石岡丈昇・打越正行
    • 雑誌名

      北海道大学大学院教育学研究院紀要

      巻: 120号 ページ: 印刷中

  • [雑誌論文] フィールドワークにおける葛藤2013

    • 著者名/発表者名
      宮内洋
    • 雑誌名

      一般社団法人社会調査協会編『社会と調査』

      巻: 11号 ページ: 48-55

  • [雑誌論文] 長久手市地域福祉計画策定に向けての市民意識調査報告2013

    • 著者名/発表者名
      佐野治・松宮朝
    • 雑誌名

      社会福祉研究

      巻: 15号 ページ: 21-33

  • [雑誌論文] 地域から多文化共生を考えることの意味2013

    • 著者名/発表者名
      松宮朝
    • 雑誌名

      共生の文化研究

      巻: 8号 ページ: 76-83

  • [雑誌論文] 高齢者の社会参加と都市における農の活動の展開2013

    • 著者名/発表者名
      松宮朝
    • 雑誌名

      国民生活

      巻: 15号 ページ: 16-17

  • [雑誌論文] Boxing, Poverty, Foreseeability: An ethnographic account of local boxers in Metro Manila, Philippines2013

    • 著者名/発表者名
      Tomonori Ishioka
    • 雑誌名

      Asia Pacific Journal of Sport and Social Science

      巻: 1-2 ページ: 143-155

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ブルデューの強制移住論―根こぎの形成をめぐる方法的予備考察2013

    • 著者名/発表者名
      石岡丈昇
    • 雑誌名

      理論と動態

      巻: 6号 ページ: 1-12

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 書評に応えて:石岡丈昇『ローカルボクサーと貧困世界』2013

    • 著者名/発表者名
      石岡丈昇
    • 雑誌名

      スポーツ社会学研究

      巻: 21-1号 ページ: 130-133

  • [雑誌論文] スクオッターの生活実践―マニラの貧困世界のダイナミズム2013

    • 著者名/発表者名
      石岡丈昇
    • 雑誌名

      シノドス

      巻: 2013年9月12日号

  • [雑誌論文] 建築業から風俗営業へ―沖縄のある若者の生活史と〈地元〉つながり2013

    • 著者名/発表者名
      打越正行
    • 雑誌名

      解放社会学研究

      巻: 26号 ページ: 35-58

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 書評論文 Goodwin, Jeff and Ruth Horowitz, 2002, “Introduction: The Methodological Strengths and Dilemmas of Qualitative Sociology”, Qualitative Sociology, 25(1)―質的調査法をめぐる諸論点2013

    • 著者名/発表者名
      後藤俊文・打越正行・吉田舞
    • 雑誌名

      現代社会学

      巻: 14号 ページ: 33-43

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 沖縄的共同体の外部2013

    • 著者名/発表者名
      打越正行
    • 雑誌名

      龍谷大学人権問題研究委員会編『沖縄における階層格差と人権 中間報告書』

      巻: なし ページ: 15-34

  • [雑誌論文] 観察学から見た質的研究の将来2013

    • 著者名/発表者名
      宮内洋
    • 雑誌名

      質的心理学フォーラム

      巻: 5号 ページ: 80-82

    • 査読あり
  • [学会発表] 都市における農の活動とネットワーク化

    • 著者名/発表者名
      松宮朝
    • 学会等名
      第86回日本社会学会大会一般研究報告
    • 発表場所
      慶應義塾大学
  • [学会発表] 愛知県西尾市におけるブラジル人コミュニティと教育支援

    • 著者名/発表者名
      松宮朝
    • 学会等名
      移民政策学会2013年度冬季大会シンポジウム報告
    • 発表場所
      静岡文化芸術大学
  • [学会発表] 「平成の大合併」の進展と公民館―学校統廃合との比較を通して

    • 著者名/発表者名
      新藤慶
    • 学会等名
      日本教育社会学会第65回大会
    • 発表場所
      埼玉大学
  • [学会発表] Underdog Boxers as Social Products: How Nameless Filipino Pugilists Constitute the Bottom of the Asian Boxing Market

    • 著者名/発表者名
      Tomonori Ishioka
    • 学会等名
      International Sociology of Sport Association 10th World Congress
    • 発表場所
      Renaissance Vancouver Harbourside Hotel, Canada
  • [学会発表] 貧困の刻印―ボクシングジムから見るマニラの都市底辺

    • 著者名/発表者名
      石岡丈昇
    • 学会等名
      日本社会学会第86回大会招待講演
    • 発表場所
      慶應義塾大学
    • 招待講演
  • [学会発表] 沖縄的共同性と階層(1)─排除されるヤンキーの若者たち

    • 著者名/発表者名
      打越正行
    • 学会等名
      第86回日本社会学会一般研究報告
    • 発表場所
      慶應義塾大学
  • [学会発表] キャバ嬢になること―沖縄<夜シゴト>で働く女性たち

    • 著者名/発表者名
      打越正行・上間陽子
    • 学会等名
      第65回日本教育社会学会一般研究報告
    • 発表場所
      埼玉大学
  • [学会発表] 一般公開シンポジウム「『当事者』だからこそ語れること、語れないこと-『当事者』という概念の再考に向けて」

    • 著者名/発表者名
      大野更紗・日高友郎・水月昭道・宮内洋・やまだようこ
    • 学会等名
      日本質的心理学会第10回大会一般公開シンポジウム
    • 発表場所
      立命館大学
  • [学会発表] 質的心理学研究編集委員企画シンポジウム「子どもたちの“いま”をとらえる-オルタナティブな子ども観の創造-」

    • 著者名/発表者名
      斉藤こずゑ・西野博之・牧真吉・谷口明子・宮内洋・菅野幸恵
    • 学会等名
      日本質的心理学会第10回大会質的心理学研究編集委員企画シンポジウム
    • 発表場所
      立命館大学
  • [図書] インタビューという実践2014

    • 著者名/発表者名
      斎藤清二・山田富秋・本山方子編
    • 総ページ数
      196
    • 出版者
      新曜社
  • [図書] 大学的愛知ガイド2014

    • 著者名/発表者名
      愛知県立大学歴史文化の会編
    • 総ページ数
      282(223-235)(236-238)
    • 出版者
      昭和堂
  • [図書] 持続と変容の沖縄社会―沖縄的なるものの現在2014

    • 著者名/発表者名
      谷富夫・安藤由美・野入直美編
    • 総ページ数
      304(108-131)
    • 出版者
      ミネルヴァ書房
  • [図書] 最強の社会調査入門2014

    • 著者名/発表者名
      木下衆・朴沙羅・前田拓也・秋谷直矩編
    • 総ページ数
      印刷中
    • 出版者
      ナカニシヤ出版
  • [図書] 生きる力を育てる臨床心理学2013

    • 著者名/発表者名
      小林芳郎編
    • 総ページ数
      182(59-61)(47)
    • 出版者
      保育出版社
  • [図書] 子ども問題事典2013

    • 著者名/発表者名
      日本子ども社会学会研究刊行委員会編
    • 総ページ数
      257(60-61)
    • 出版者
      ハーベスト社
  • [図書] よくわかる都市社会学2013

    • 著者名/発表者名
      中筋直哉・五十嵐泰正編
    • 総ページ数
      216(10-11)(44-45)
    • 出版者
      ミネルヴァ書房
  • [図書] ボディ&ソウル―ある社会学者のボクシングエスノグラフィー2013

    • 著者名/発表者名
      ロイック・ヴァカン
    • 総ページ数
      406
    • 出版者
      新曜社

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公開日: 2015-05-28  

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