研究課題/領域番号 |
25590129
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
馬場 幸子 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (60646818)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | スクールソーシャルワーク / 実践スタンダード / 評価指標 |
研究概要 |
25年度には、米国におけるSSW実践スタンダードを精査した。Standards for School Social Work Services (NASW, 2012)をはじめ、インターネットで入手可能な各州のスタンダードやガイドラインを収集する過程で、スタンダードを満たしているかどうかを判断するための指標(Rublic)の存在を知った。SSWAA(スクールソーシャルワーカーの全米組織)が作成中の指標であるEvaluation Framework(原稿)や、各州で独自に作成された指標(Rublic)を複数入手した。また、SSWAAが作成したPractice Modelも入手した。Evaluation Framework はNASWのStandardsおよびSSWAAのPractice Modelをベースに作成されている。(25年10月に完成したEvaluation Framework を26年4月にインターネットで入手した。) 入手した情報を整理し、NASWのStandardsおよびSSWAAのEvaluation Framework (Rublic)を、日本における実践モデル作成の参考資料の中心に据えることとした。 3月下旬に行われたSSWAAの年次大会においてSSW実践スタンダードに関する質問紙調査を実施し、165人から回答を得た。質問紙調査では主に実践スタンダードの認知度、使用頻度や活用法、Standardsの重要性についての考え(スタンダードの存在を重要視しているかどうかとその理由)を尋ねた。また、SSW実践の質に影響を及ぼすと思われる要因について質問をした。加えてグループインタビューも実施し、スクールソーシャルワーカー5名から実践スタンダードの意義やその活用についてより詳細な考えを聞くことができた。収集したデータの整理と調査結果の分析は、26年度初めに行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、米国で用いられている実践スタンダードに関する資料の精査と米国での調査実施を予定していた。米国でのデータ収集が年度末まで行えなかったため、データの整理、結果の分析が26年度にずれ込んだが、想定内の進展速度であり、今後の進展に大きな影響はない。
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今後の研究の推進方策 |
26年度は日本の「日本における全国版スタンダード案」を作成する。まず、25年度末に収集したデータの整理と調査結果の分析を行う。同時に、日本のスクールソーシャルワーカーから協力を得て米国で入手した資料を翻訳し、調査結果とあわせてディスカッションを行う。翻訳する資料はNASWのStandards for School Social Work Services、SSWAAのPractice ModelおよびEvaluation Framework。翻訳を4月~5月に行い、その内容についてのディスカッションを6月~7月に行う。その他翻訳し日本のスクールソーシャルワーカーらと共有すべき資料があれば、共同翻訳、ディスカッションを行う。現段階では、イリノイ州のSocial Emotional Learning Standards, SSWAAが作成中のCommon Core Standards (支援の結果子どもにもたらしたい結果についてのスタンダード)の翻訳、精査を検討している。 調査結果については、英語版の結果を25年度末にグループインタビューに参加したSSWAAのメンバーおよびInternational Committee on School Social Work Collaborations のメンバーと、日本語版を本研究の研究者及び研究協力者(日本のスクールソーシャルワーカー)とで共有し、フィードバックを得る。 26年度後半は、日本版スタンダードおよび評価指標のたたき台を作成していく。この過程は、日本各地のスクールソーシャルワーカー等からの意見を聞きながら行う。 27年度初め(4月中旬)にSSWAAの年次大会が行われるので、そこで再度補足調査を行い、日本版スタンダードおよび評価指標の作成に反映させる。スタンダード案、評価指標案の試用を経て、スタンダード、評価指標を完成させる。
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次年度の研究費の使用計画 |
連携研究者らとの会合の日程調整が困難で、予定していたよりも研究会議の回数・日数・参加人数が少なくなった。 また、渡米(カンファレンス出席およびデータ収集)が年度末に行われたため、その旅費等が次年度の会計となった。関連して、25年度末に行った調査のデータ処理が26年4月以降に行われることになったため、データ処理に必要な人件費等の支払いも次年度に行われることとなった。 25年度の渡米にかかわる費用約30万円と、25年度末に行った調査のデータ処理に必要な費用約4万円が26年度に支払われる。それらを除くと、55万円程度が、26年度の当初予算にプラスされることになる。 26年度に米国での追加調査を行い、調査の精度を上げるとともに、「日本版実践スタンダード案」作成に携わる研究協力者の人数を増やす・研究協力者らとの協議の機会を増加するなどにより、当初の予定よりもさらに研究の精度を高めることを目指す。
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