研究課題/領域番号 |
25590131
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
吉川 雅博 愛知県立大学, 教育福祉学部, 教授 (20315865)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | スクールソーシャルワーク / 家庭支援 |
研究実績の概要 |
2年目である26年度は、1名のスクールソーシャルワーカー(SSWer)を、主にA小学校とB中学校を担当し、教員と協働して問題解決に向けスクールソーシャルワーク(SSW)を実践した。小学校と中学校では問題の種類が異なることがわかった。SSWerの専門性について理解を深めることと、ソーシャルワークを知ることが、教員とSWerが協働するためには重要である。そこで、日進市内のすべての小中学校の教員(参加者合計293名)を対象に、約1時間の「スクールソーシャルワーク研修」を行った。この研修終了後、自由記述のアンケートを行った。その結果、SSWerの存在を初めて知った。SSWerへ積極的に相談することが大事。教員ではない第三者による対応の必要性。担任が一人で抱え込まずに困ったときに相談してよいことがわかったなど、SSWerを活用したいという意見が多かった。相談したい内容としては、「保護者対応」と「問題行動」が圧倒的に多かった。また、ケース会議のやり方や必要性、エコマップ(援助者が、利用者を支援するために利用者、家族、社会資源の関係性を図にしたもの)の有用性がわかったという意見も多かった。1時間程度の研修で基本的なSSWerの役割や福祉的な考え方が理解できることがわかった。勤務する学校にSSWerが配置されるまでは、SSWer不在で問題解決に取り組まざるを得ないため、福祉的な発想のケース会議やエコマップを理解する教員が増えると、学校の問題解決能力の向上が期待できると考えられ、教員向けの「スクールソーシャルワーク研修」が有意義であることがわかった。今後教員がSSWerと協働して問題解決に取り組むために、教員がSSWerの役割や職務内容を理解しておくことは必要不可欠と考えられる。実際にSSWerと協同して問題解決ができたことを経験できると、SSWerに対する理解が深まることもわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
教員向けのSSWer活用マニュアルとSSWer向けのガイドブックの作成を本研究の成果物と考えている。教員向けのマニュアルについては、教員向けの研修会を実施し、教員がSSWerに対して期待していること、活用の仕方などについてのデータが得られた。しかし、典型的な事例の整理などが遅れ、SSWer向けのガイドブック作成のためのデータ収集が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
学校におけるSSWの実践は、教員とSSWerがお互いの専門性を理解した上で、それぞれの専門性を発揮し協働して、問題を解決すべきである。愛知県では今後、学校へのSSWerの配置が進んでいくと考えられる。学校にSSWerを配置するにあたり、教員に対しSSWerの役割や職務内容などについての周知が不可欠であることが明らかになった。 教員がソーシャルワーク(福祉)についての基礎的な知識をもち、SSWerの考え方や方法を理解できることが求められる。そこで、SSWerと協働して問題解決を経験した教員に、教員がSSWをどのように理解すればよいのかなどについて、ヒアリングを行い、教員を対象としたSSWer活用マニュアルを作成する。 一方、「学校」は福祉とは大きく異なる文化や価値観をもつ分野であり、学校という場で仕事をする以上、SSWerは教員とほぼ対等に話ができることが求められ、学校に関するいろいろな知識が必要となる。27年度新たに日進市に配置される新人のSSWにも、SSWerが教員文化をどのように理解すればよいのかなどについてヒアリングを行い、SSWer向けのガイドブックも作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
事例の整理が進まず、事例検討会が開催できなかったため、人件費・謝金の執行が予算より下回ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
事例の整理や事例検討会を開催し、教員向けのSSWer活用マニュアルとSSWer向けのガイドブックの作成費として執行する。
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