本研究の目的は、中華民国(台湾)台北市、韓国ソウル市におけるホームレスに対する支援策の展開を踏まえ、ホームレス支援施策と公的扶助制度との関係を明らかにすることである。台北市では、2014年「遊民安置輔導自治条例」に格上げされ、市独自の支援策を実施している。しかし社会救助法が制限扶助主義であるため、遊民支援においては十分機能していないことが判明した。韓国では、国民基礎生活保障法(2000年)が一般扶助主義に転換し、露宿人以外も対象にした「露宿人等福祉法」(2011年)が成立したことから、ホームレス支援において、公的扶助制度がその役割を果たしていることが判明した。
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