研究課題/領域番号 |
25590138
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研究機関 | 東京福祉大学 |
研究代表者 |
三野 宏治 東京福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (80615229)
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研究分担者 |
立岩 真也 立命館大学, 先端総合学術研究科, 教授 (30222110)
森下 直紀 和光大学, 経済経営学部, 講師 (40589644)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 地域移行 / パーソナルアシスタント / 脱施設 / 差別 |
研究実績の概要 |
病/障害者の地域生活・移行支援に際し、差別・偏見に如何に抗するのかが大きな問題であることは自明のことであろう。しかし、本研究ではこの点を強く確認することができた。そして差別に晒され更なる困難さを抱える人たちへ寄り添うことで支える人たちの取り組みをみた。「寄り添い」は社会福祉では頻回に使われる言葉である。しかしどのようなことをいうのかは、実践で示すほかはない。ただ、本研究で困難さを抱える人たちに寄り添う支援者たちは施設に集める(入所・通所利用)のではなく、彼らの生活の場に足を運ぶ、あるいは共に暮らすことで支えようとしていた。 ハンセン病患者たちは病を理由に一所に集められ隔離された。その政策に対する反省弁を国は述べる。精神障害者は病の治療を目的に病院に入院する。ただ、長期間の入院により地域移行が難しい人が多くいる。水俣病被害者の多くは国が患者と認めず、支援者とともにその被害を訴え続ける。 一所に人を集め(入所・通所利用)支援を行うことは人的・経済的側面の上では効率的であろう。水俣病被害者の支援を続けた医師の原田正純は「公害のあるところに差別がおこるのではない。差別があるところに公害がおこる」と言った。原田の指摘は施設型支援にも援用できると考える。つまり、一所に人を集める支援は差別を増幅させる可能性があり、その差別は新たな困難さを引き起こす支援を行い同時に差別に抗する取り組みを行う施設が新たな差別を惹起する機関となっていないか。本研究で成果が指摘したいことの一つがこの点である。ではどうすれば良いか。個人の生活に合わせることを支援の基本とするなら、一所に人を集める支援は基本から外れていることを認識したうえで、個人で住むことを保証し必要な支援をその人たちの生活の場で行う。それを可能にする人員と財政的裏付けつけることを保証していく。これらの重要性を改めて強く指摘したい。
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