研究課題/領域番号 |
25590143
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
宮城 孝 法政大学, 現代福祉学部, 教授 (70276864)
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研究分担者 |
石井 享子 法政大学, 現代福祉学部, 教授 (20202947)
末田 千恵 横浜創英大学, 看護学部, 助教 (50622685)
仁科 伸子 東京福祉大学, 社会福祉学部, 講師 (30707683)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 要介護高齢者 / 在宅ケア / ケアマネジメント・システム / 地域包括ケア / 介護保険 |
研究概要 |
本研究は、要介護高齢者の在宅ケアを継続していく要因を実証的に分析することで、在宅を中心とする住み慣れた地域において、尊厳と個別性が尊重された生活を継続することができる社会的インフラを整備するための方策を提言することを目的としている。この要介護高齢者本人の意思を尊重し、医療・看護・介護・住まい・生活支援サービスなどを横断的、効果的に提供し、安心して暮らせる在宅ケアに関する包括的なマネジメント・システムを開発し、その普及を図ることにより、特別養護老人ホーム等の入所待機者を減少させるとともに、すでに財政的な限界が指摘されている介護保険制度の持続可能性を高めることに寄与すると考える。 研究初年度である平成25年度は、神奈川県小田原市、山形県鶴岡市、東京都狛江市における関係機関の協力によって、在宅において要介護高齢者の介護をしている計1,066名の介護者に対し、在宅介護の状況等について、計50項目で構成されたアンケート調査を、担当のケアマネジャーの直接の聴き取りによって実施した。また、小田原市における居宅介護サービスを利用している11世帯へのインタビュー調査、平成24年度から地域密着型サービスとして開始された定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービスを先駆的に実施している2事業者へのインタビュー調査などを実施している。 これらの調査によって、これまでにないかなり詳細な要介護者と介護者の介護状況に関するデータを収集することができている。また、これらのデータに関する分析の結果を、中間報告書としてまとめ、対象とした各地域の関係機関や行政、また厚生労働省老人保健局、国立社会保障・人口問題研究所等に広く送付し、本研究のフィードバックを図った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は、当初重度要介護高齢者のみを対象としていたが、軽度・中度の要介護高齢者の在宅ケアの継続性を鑑み、対象を要支援・要介護高齢者全体に広げるとともに、調査対象地域も、当初小田原福祉会のみを協力機関として想定していたが、地域が限定され、より普遍的なデータを得る必要性から、東京都狛江市、山形県鶴岡市に対象を広げて関係機関の協力を得て対象地域を広げるとともに調査対象者を大きく増加することができ、より普遍的なデータを得ることができ、また地域的な要因などについて分析できることとなった。 また、在宅ケアに関する要介護者、介護者へのアンケート調査は、協力機関の本研究への理解と協力を得ることができ、担当ケアマネジャーが直接訪問しての聞き取りによる計50項目に及ぶ1066世帯の詳細なデータを得ることができた。その他、11世帯の要介護者宅を訪問してのインタビュー調査や、平成24年度から開始された定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業を先駆的に実施している事業者へのインタビュー調査も実施できている。 そして、これらの調査で得られたデータの分析から、かなり要介護高齢者の在宅ケアに関する実態や課題が鮮明になっている。これらの中間的な分析を報告書『要介護高齢者の在宅ケアを継続する包括的ケアマネジメント・システムの開発に関する調査研究報告書』 としてまとめ、調査対象地域の各機関や関係する各方面に送付し、今後の研究の進展のフィードバックを図ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に実施したアンケート調査によって得られたデータ分析は、現在のところ各地域別の集計と分析に限られているが、平成26年度は、要介護度、認知症の程度、また介護者の在宅ケアへのコンピテンシー(適応度)による在宅ケアを継続していく要因の分析、また介護者の介護負担の因子分析などを行い、さらに研究の進展を図っていくこととする。 また、地域特性による相違点などを分析し、今後、大都市部や地方都市、中山間地など地域の特性に応じた包括的ケアマネジメント・システムのあり方を探求する基盤的な研究としての深化を図ることとする。
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次年度の研究費の使用計画 |
調査対象の大幅な拡大に伴い、他の民間研究助成に申請し採択されたため、当初予定していた支出について、若干ではあるが削減を図ることができた。 平成25年度で得たデータのさらなる整理・分析のためのアルバイト費や消耗品費、研究報告書の印刷・製本費などに充当する。
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