研究課題/領域番号 |
25590146
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
加瀬 裕子 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (30296404)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 介護職員 / 職務ストレス / 就業動機 / 雇用管理マネジメント |
研究実績の概要 |
【目的】本研究は,介護職の①中途採用と他職からの転職者が多いきわめて異質性の高い採用環境で,その就業動機の特性を明らかにする必要性が喚起されながらも、実証的研究の蓄積が皆無である点,および②介護職特有ストレス関係を扱った先行研究は規定要因が労働条件や職務満足感など限定的であるほか,③これまで関連する諸研究で提示されてきた規定要因を部分的に検証するにとどまっている点を課題としてあげて,介護老人福祉施設・居宅支援事業所を対象として「介護職員の就業動機の構造と職務ストレスの関係性」という主題のもと、調査を企画して取り組んだ。【方法】2015年度は、東京近郊の4高齢者介護施設316名から回答を得た調査の統計的分析を行った。【結果】その結果、現介護職員は,介護職に就く前から,すでに介護職への理解や役割に関して情報を習得し備えている「プロフェッショナル志向」と,人との交流から仕事の満足感を求める「対人志向」を主な就業動機としていることが明らかになった.また,介護職には価値ある仕事をすることへ社会的な評価を求めている「キャリア上昇志向」も存在した.さらに介護職のストレスに与える影響を検討した結果,介護職員の就業動機の「対人志向」と業務ストレスの全ての因子間で有効な交互作用が認められた.「利用者とのコンフリクト」と「過重な業務によるコンフリクト」では,全てのStepにおいて、「対人志向」に有意な交互作用が認められた.特に「夜勤勤務」の場合,「過重な業務への負荷」においては,就業動機の「対人志向」とともに大きく影響していることが示された.【結論】仕事を通して人との交流や出会いに仕事の満足を得ようとする「対人志向」の就業動機をもっている若い介護職に対し,コンフリクトの発生が予測される,認知症の高齢者への対応や夜勤時での支援を行う必要性があるなど,人材管理への在り方について示唆が得られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
人事管理者への介護職離職防止の対策についてのヒヤリング調査を追加として調査したが,その分析が完了していない.
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今後の研究の推進方策 |
2016年度前半期に,介護職離職防止の対策についてのヒヤリング調査分析を完了する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
人事管理者への介護職離職防止の対策についてのヒヤリング調査を追加として調査したが,その分析が完了していないため人件費を支出しなかった.
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次年度使用額の使用計画 |
人事管理者への介護職離職防止の対策についてのヒヤリング調査を分析するために,人件費として支出する予定である.
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