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2014 年度 実施状況報告書

社会包摂的医療に向けたアクション研究:「語り」にもとづく実践と政策形成

研究課題

研究課題/領域番号 25590148
研究機関立命館大学

研究代表者

松田 亮三  立命館大学, 産業社会学部, 教授 (20260812)

研究分担者 高山 一夫  京都橘大学, 現代ビジネス学部, 教授 (90313741)
長友 薫輝  三重短期大学, 生活科学科, 教授 (70390078)
垣田 裕介  大分大学, 福祉社会科学研究科, 准教授 (20381030)
福田 茉莉  立命館大学, 衣笠総合研究機構, 研究員 (70706663)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード社会排除 / 包摂的医療 / 困難直面患者 / アクション・リサーチ / 質的調査 / セイフティ・ネット医療機関 / 生活困窮者自立支援法 / アメリカ合衆国
研究実績の概要

病院と連携したアクション・リサーチの推進として、まず昨年度連携体制を確立した病院において実施した困難を抱える患者に関わるスタッフ調査のトランスクリプトにもとづき分析をすすめ、学会報告を行うとともに、病院とともに調査結果をふまえた取り組みについて検討した。さらに、困難を抱える患者ならびに家族に関する調査を設計し、その実施をすすめた。調査設計と実施体制を丁寧に検討し、患者の都合に従って実施していくため、研究期間の延長を行った。病院の立地している地域についての情報収集を引き続き検討して、分析に活用した。
また、支援方策を具体的に検討する上で、2015年4月の生活困窮者自立支援法施行を控えて、先行のモデル事業を実施する全国の地方自治体や関連団体等を訪問し、支援の体制や内容、効果、直面する課題などについてインタビュー調査を行い、ローカルな社会資源を活用しつつ個別的・包括的な支援が展開されている中で、社会的包摂を実現する上で、健康や精神疾患に関する生活困難にアプローチすることの重要性が浮き彫りとなった。
方法論的には、小規模病院と大学が共同して行うアクション・リサーチのあり方について、振り返りその特色や方法について検討し、このようなアクション・リサーチの成立条件について検討した。
米国において無保険等さまざまな困難な状況にある患者に医療サービスを提供しているセイフティ・ネット医療機関の実態をAffordable Care Act (ACA)による影響をみすえつつ、文献調査をふまえて、2015年2月にワシントンDCでの聞き取り調査・視察を行い、その結果の分析をすすめた。まだ、昨年度に引き続き、英語圏を中心に、社会格差・排除に直面している患者・住民への医療場面での支援について、文献を収集し、検討を行った。
これらを推進するために、研究組織による研究会ならびに病院との研究連携会議を適宜開催した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

病院とのアクション・リサーチについては、病院との共同体制の構築、スタッフ・患者調査の設計・実施などいずれも想定より時間を要したが、全体として当初の計画にそって実施している。
海外先行事例の検討については、日程上2015年2月の実施とならざるを得なかったため、その分析をすすめている段階であり、結果を分析・整理するのに、なお時間を要する状況である。
文献学的研究については、内部的研究会での報告は行ったが、聞き取り調査結果をふまえて報告することが必要と判断したために、結果的に本年度の対外発表が実施できていない。しかし、上記調査をふまえて次年度早々でまとめることが可能と考えている。
一部では実現できているが、全体として、学会報告に行った内容をさらに発展させて、学術論文あるいは単行本としてまとめる課題が残されている。

今後の研究の推進方策

病院と連携した患者調査については、早急に必要な協力者数を確保し、調査を完結させる。スタッフ調査と患者調査を合わせて、病院としての取り組みの今後の方策について検討する場を設定し、可能な事業を模索する。これらの過程をふりかえり、小規模病院と大学との連携によるアクション・リサーチの事例報告を行うことを追求する。
米国でのセイフティ・ネット医療機関調査結果ならびに先行文献の検討結果について総合し、学会発表ならびに学会誌等での報告を行う。
以上の成果の質を共有し、また質を高めていくため、研究者ならびに関係者を含めた研究会を開催し、それらを成果発信に生かす。

次年度使用額が生じた理由

連携して研究を実施している病院での共同研究体制構築に向けた内部調整と調査実施方法の検討に想定以上に時間を要し、スタッフ調査の実施・分析、それを受けた患者調査の検討が遅れ、後者は平成26年度1月からの実施となった。多忙で限られた人員の病院を舞台として、複雑な事業をかかえた患者に慎重に患者の事情を優先して日時を設定してインタビューをすすめているために、調査を年度内に終了することが不可能であった。

次年度使用額の使用計画

まず、平成27年5月初旬ごろまでに終了する予定の患者調査のトランスクリプ卜を作成するのに使用する。さらに、病院関係者を含めた調査結果報告会ならびに課題検討会を実施する全場費・交通費・資料印刷費、同研究会の補助員の雇用費等に使用する。以上に加えて、課題に関わる文献資料の購入その他消耗品の購入、研究補助員の雇用等に使用する計画である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 日本の貧困・ホームレスを捉える視点と支援策のあり方2014

    • 著者名/発表者名
      垣田裕介
    • 雑誌名

      福祉社会科学

      巻: 3 ページ: 65-80

    • 査読あり
  • [学会発表] Health Insurance and Health Safety Net in the United States2015

    • 著者名/発表者名
      髙山一夫
    • 学会等名
      A Symposium Celebrating the 50th Anniversary of the College of Social Sciences, Ritsumeikan University
    • 発表場所
      立命館大学(京都府・京都市)
    • 年月日
      2015-01-16
  • [学会発表] 米国の医療制度改革とセーフティ・ネット・プロヴァイダー2014

    • 著者名/発表者名
      髙山一夫
    • 学会等名
      日本医療経済学会 第38回学術大会
    • 発表場所
      京都私学会館(京都府・京都市)
    • 年月日
      2014-12-06
  • [学会発表] 患者-医療従事者間の相互性により生じる困難―医療従事者を対象としたインタビュー調査から―2014

    • 著者名/発表者名
      福田茉莉
    • 学会等名
      日本質的心理学会第11回大会
    • 発表場所
      松山大学(愛媛県・松山市)
    • 年月日
      2014-10-19
  • [学会発表] 生活困窮者支援における相談支援のあり方と課題――伴走型支援のスキームと機能2014

    • 著者名/発表者名
      垣田裕介
    • 学会等名
      社会政策学会第129回(2014年秋季)大会
    • 発表場所
      岡山大学(岡山県・岡山市)
    • 年月日
      2014-10-12
  • [学会発表] アクション・リサーチのための学実連携構築:「支える医療」共同プロジェクトでの経験2014

    • 著者名/発表者名
      松田亮三・福田茉莉・石橋修
    • 学会等名
      第55回日本社会医学会総会
    • 発表場所
      名古屋大学(愛知県・名古屋市)
    • 年月日
      2014-07-12
  • [学会発表] 困難を抱える患者に対する医療実践の検討―医療従事者が経験する「困難性」に関するインタビュー調査から―2014

    • 著者名/発表者名
      福田茉莉・松田亮三・石橋修.
    • 学会等名
      第55回日本社会医学会総会
    • 発表場所
      名古屋大学(愛知県・名古屋市)
    • 年月日
      2014-07-12
  • [図書] 社会福祉学事典2014

    • 著者名/発表者名
      垣田裕介
    • 総ページ数
      784(248-249)
    • 出版者
      丸善

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公開日: 2016-05-27  

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