研究課題/領域番号 |
25590149
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
黒田 研二 関西大学, 人間健康学部, 教授 (70144491)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 認知症 / 相談支援 / 地域包括支援センター / 支援困難感 / 医療と介護の連携 / 国際比較 / 韓国 |
研究概要 |
人口高齢化とともに認知症の人の生活支援は喫緊の課題となっている。本研究は、地域におけるその相談窓口である地域包括支援センター等の専門職を対象とした調査を実施し、認知症の人の支援および支援に伴う困難感とそれらの要因を明らかにすることを目的としている。 平成25年度には先行研究のレビューを行うとともに、大阪府内および大分県内における地域包括支援センターを対象とした質問紙調査を行った。大阪府内の245施設の地域包括支援センターを対象に2013年8月に質問紙調査を実施し、202施設より回答を得た(回答率82%)。大分県では2013年11月に調査を実施し、地域包括支援センター55か所のうち49施設より回答を得た(回答率89%)。大阪府はセンターの管理者からセンター単位の回答をしてもらい、大分県では各センターの3職種(主任介護支援専門員、社会福祉士、保健師・看護師)それぞれから回答してもらった。 認知症に対する支援の状況を点数化して、それに関連する要因を検討した結果、2つの調査に共通して、医療機関との連携の状況がもっとも重要な要因であることが明らかになった。また、認知症事例に対する支援困難感についても点数化して関連要因を検討したところ、医療の現状に対する否定的な認識が強い場合に支援困難感が強いという結果が得られた。 医療の現状についての認識は、実際に認知症に対する医療システムが未整備であることを反映していると考えられる。地域包括支援センターによる認知症の人の支援を実効的なものにしていくためには、医療との連携の促進と医療システムの改善が課題であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初期の計画で研究初年度に実施する予定である研究はほぼ達成できた。調査の対象も計画で述べていた大阪府の地域包括支援センターのみならず、大分県の地域包括支援センターを対象に調査を実施し得たことは、計画以上の達成と評価ができる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、専門職個人が感じる支援困難感の要因として、単に認知症の人の症状や家族関係といった支援を受ける側の要因だけでなく、職場や地域の環境が影響しているという仮説を実証的に明らかにしようとしている。平成26年度には25年度に行った調査をもとに、認知症への支援、および支援困難感それぞれを数値化し、それぞれを従属変数とした重回帰分析によりその要因をさらに詳細に分析して、論文として公表する予定である。また27年度に実施を計画している韓国の保健センターの専門職を対象とした調査にむけて、調査票の韓国語への翻訳等を実施する予定である。
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