研究課題/領域番号 |
25590160
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 岩手県立大学 |
研究代表者 |
細越 久美子 岩手県立大学, 社会福祉学部, 准教授 (90311894)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 多文化共生 / 対人ネットワーク |
研究概要 |
国内における多文化共生のまちづくりは、外国人が散在居住する地域での取り組みが注目されることは少なかった。生活上必要な情報入手の困難さや外国人の孤立といった散在地域特有の課題もあるにもかかわらず、必ずしも社会で取り組むべき問題として認識されていない。そこで本研究では、在住外国人の散在地域である岩手県内における、日本語ボランティアや中核的な外国人による在住外国人への支援・交流の範囲や支援内容について、具体的に把握するとともに、このようなキーパーソンの機能について明らかにすることを目的とし、文献研究およびフィールドワークによる調査を実施した。 1.既存文献・資料調査:在住外国人支援について、国際交流協会やNPO団体、日本語教室スタッフが重要な役割を担っているが、地域に浸透した形での個別具体的な支援は、国際交流協会等が関わる以前に外国人同士の繋がりや日本人住民との繋がりが考えられる。特に入国間もない外国人にとっては、文化的背景が異なる環境での体験や感情を共有できる同国人や外国人との繋がりを支えとして、段階的に日本人との関わりへと発展していくことがわかっている。一方で、集住地域において多文化共生に関わるキーパーソンを制度化する取り組みがあり、既に埼玉県や長野県、大阪市で実施されている。外国人集住地域に特徴的であるが、散在居住地域でもそのような事例があるか継続調査する。 2.フィールド調査:平成25年度は研究協力者(岩手県国際交流協会関係者、各地域の国際交流団体、日本語ボランティア等)へのヒアリングを実施し、現在そのデータ整理の段階である。沿岸部の2箇所(宮古市、陸前高田市)および内陸都市部(盛岡市内および近郊)において、震災時において被災した外国人の状況や直接的支援に携わった人々および支援内容については今後の課題となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は平成25年度中に第一次調査として沿岸地域(宮古市、陸前高田市、盛岡市内および近郊)の日本語ボランティアの活動環境や外国人との交流場面、外国人が集まる場の参与観察を行う予定であった。しかしながら、特に沿岸地域での調査には移動時間もかかるため連続した複数日を要するが、学内外での業務により、まとまった時間の確保が困難であった。また、内陸部での調査において、在住外国人からの聞き取りが不十分であり、ラポール形成が十分でなかったことが考えられる。特に、キーパーソンの定義や条件を明確にできていないために、在住外国人のキーパーソンとなっているような人物の選定を困難になっている。
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今後の研究の推進方策 |
1. キーパーソンの定義の明確化:キーパーソンの定義や条件が不明確であったことから、対象者の選定が困難になっていたが、先行研究や既存資料で明らかとなっている特徴を鍵としてある程度の枠組みを設定する。 2. フィールド範囲を特定化:今年度も沿岸地域で長期に渡る調査することは現実的ではないと考えるため、沿岸地域は1箇所に限定し、参与観察および面接調査を行う。 3. 在住外国人のネットワークにおけるキーパーソンへの面接調査:平成25年度は日本人側への調査が中心であったため、在住外国人への面接調査に重点を置いてデータ収集・分析を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していた岩手県沿岸部と内陸部(一部)での調査ができなかったため、旅費とデータ整理のための謝金がほとんど使用されていない。 岩手県沿岸部での調査地域の範囲を1カ所に限定し、参与観察・面接調査を実施する。また、学生なども同行させ、その都度データ記録・整理するため、旅費の一部は学生用にあてることとする。
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