研究課題/領域番号 |
25590162
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
木村 竜也 金沢工業大学, 基礎教育部, 准教授 (20410293)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 在日ベトナム人 / 母語教育 / 文化的アイデンティティ |
研究概要 |
本研究では、青年期までの在日ベトナム人2~3世を対象とし、ベトナム語の学習が文化的アイデンティティ形成に及ぼす影響に注目している。平成25年度は、フィールド調査の実施準備を完了した。 調査フィールドはベトナム人集住地域である大阪府八尾市南本町地区で、当地区を中心に活動している特定非営利活動法人トッカビと協力して調査計画を策定した。当該法人はベトナム人子弟に対し母語教室を10年間実施している。当該法人は過去10年の総括をする計画しており、それと連携して、継承語(母語)教室参加者にインタビュー調査を行うことで同意している。 現在、月1回の母語教室への参与観察を実施しつつ、過去10年間の参加者112名の概要を①基本情報(性別、年齢、何世か、参加期間)、②継承語教室で使用している教科書のレベルによる言語能力の査定、③ベトナム語と日本語の使用状況、④継承語教室指導者による学習態度の具体的評価を中心にまとめており、これは論文としてまとめる予定である。これにより、インタビュー調査に適した個人を特定する作業を行っている。また、継承語教室が実施しているベトナム文化に関連する活動の実情について、主催者から聞き取りを実施している。 概要に関する調査の結果、継承語教室開始時から10年間参加し、ベトナムに関する文化的活動に従事した青年女子2名がいることが明らかになり、彼女らとその両親に対して、インタビュー調査を実施する予定である。また、彼女らについて、継承語教室の指導者や学校の教師にインタビュー調査を実施する予定である。 調査は、当該法人のメンバーと研究協力者2名の協力を得て、教室への参加の経緯と継承語教室によってベトナムに対する意識の変化と自らのベトナム文化に由来する要素とアイデンティティ形成をテーマとして6月以降に実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2013年度の時点でベトナム継承語教室への参加者数は50名おり、当初予想していたよりもはるかに多い数である。しかし、その多くは小学校低学年以下であり、インタビュー調査により十分な情報を得るのは困難であると予測される。20回答法などの調査を使用することも考えているが、主たる調査方法として継承語教室参加者へのインタビューを考えていたため、若干の修正が必要となる。 また、2013年度中に調査を開始する予定でいたが、参加者数が予想よりも多かったために、参加者の概要をまとめることを優先事項とした。 以上から、現時点での進捗状況は遅れていると判断する。ただし、調査対象者を厳密に選定することにより、現時点での遅れは十分に取り戻せる程度のものであり、自己点検による評価を「やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
文化的アイデンティティの形成には、①親世代からの文化に関連する価値観の影響と、②それに対する本人の捉え方が大きく影響している。①については、当初の計画通り教室参加児童の両親が持つ発達期待についてインタビューを行い、②については継承語教室およびベトナム文化に関連する活動への取り組みと、それに対する意味づけを教室参加者に対してインタビュー調査を実施する。また、当該参加者のベトナム文化に対する態度を、継承語教室の指導者と学校の教師に聞き取りを行う。 参加者の多くが年少者であることが、十分な情報量を得る上で課題である。この課題について、現在ある程度の年齢に達している参加者へのインタビューで十分な情報量を得るようにすること、年少者に対しては、20回答法の使用と教室への参与観察と、ベトナム文化に関連する文化字的活動に関する観察から情報を得ることを考えている。 調査は今年度の前半には開始予定である。また、継承語教室の概要のまとめを近日中に実施する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初、2013年度に調査を開始し、研究代表者のフィールドへの出張旅費、調査対象者への謝金と、およびテープ起こしのための謝金を使用する予定であったが、調査計画の遅れのために支出が少なくなった。 2014年度の前半に調査を開始することが可能であり、それにより研究代表者のフィールドへの出張旅費、調査対象者への謝金と、およびテープ起こしのための謝金などの支出を計画している。また、特に調査対象者が年少者の場合には、対象者と十分な関係を築いている継承語教室の主催者に調査を依頼する必要があること、教室参加者の両親へのインタビュー調査においては、日本語能力が十分ではなく、ベトナム語通訳者が必要となり、それぞれについて人件費が必要となる。
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