研究課題/領域番号 |
25590178
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
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研究分担者 |
溝川 藍 椙山女学園大学, 人間関係学部, 講師 (50633492)
子安 増生 甲南大学, 文学部, 教授 (70115658)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 批判的思考 / 批判的評価 / 高次の心の理論 / 科学的情報・健康関連情報 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、心の理論(思考・知識・信念等の他者の心的状態を予測する能力)と認知コスト(課題の提示形式がどの程度複雑で精神的要求の多いものであるか)が、科学的情報・健康関連情報の批判的評価に及ぼす影響を明らかにするため、引き続き研究を実施した。 日本の大学生を対象に新たに質問紙調査を実施した結果、心の理論の能力と批判的評価課題におけるパフォーマンスの間に一部関連が見出された。また、彼らが提示された情報の様々な形式のバイアスを検出し、バイアスのない情報に沿って適切な意思決定をしていることが示された。しかしながら、情報の提示形式については一貫した効果が見出されず、情報の提示形式は批判的評価と意思決定に影響を及ぼさない可能性が示唆された。これらの研究成果は、2016年7月に第31回国際心理学会議(ICP2016)において発表した。 また、情報の提示のタイミングとフォーマットを統制するため、Lisa Scharrer博士(ドイツ・ミュンスター大学)との共同研究としてオンライン調査の準備を進めた。日本国外においても同様の知見が得られるか否かを調べるため、Rachel Dryer博士(オーストラリア・チャールズスタート大学)の協力を得て、オーストラリアの大学生を対象にこのオンライン調査を実施した。その結果、参加者の教育的背景や文化的環境が異なるにも関わらず、オーストラリアでも日本と同様の知見が得られることが確認された。 2017年2月には、Lisa Scharrer博士とRachel Dryer博士をゲストスピーカーとして招聘し、京都大学においてミニシンポジウム「科学と健康に関連した情報に対する批判的思考と評価」を開催した。ミニシンポジウムでは、本研究プロジェクトの成果報告を行い、参加者との活発な議論が行われた。
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