研究課題/領域番号 |
25590179
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研究機関 | 福山大学 |
研究代表者 |
赤澤 淳子 福山大学, 人間文化学部, 教授 (90291880)
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研究分担者 |
桂田 恵美子 関西学院大学, 文学部, 教授 (90291989)
谷向 みつえ 関西福祉科学大学, 社会福祉学部, 教授 (20352982)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 児童養護施設 / 個別学習支援 / 児童期 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、大阪府および福井県の児童養護施設入所児を対象とした大学生による個別支援プログラムを実施した。対象児童は小学校4年生~6年生の計25名であった。また、学習支援者は、3大学の大学生24名(男性6名、女性19名)と大学院生1名(女性1名)の計25名であった。4月にから6月にかけて、平成25年度に作成したテキストを用い、大学生は、児童養護施設、子どもの発達、および愛着等についての講義を7回受講し、それと並行して施設の予備実習を行った。平成26年7月から平成27年3月までの9カ月間、児童と大学生を1対1でマッチングし、月2回計18回の個別支援学習を開始した。その間、大学生は毎回実習記録を提出し、大学別および大学合同のグループスーパーヴィジョンやケース・カンファレンスも実施した。 また、児童のアセスメントとして、①自尊心、学習の楽しさ、およびコンピテンスを測定する質問紙、②コンボイ、③学力テスト、を学習支援開始前の7月と終了後の3月に実施した。同様に、大学生のアセスメントとして、①対人援助職適正、特性自己効力感、対人援助自己効力感、および援助成果(事後のみ)を測定する質問紙を学習支援開始前の7月と終了後の3月に実施した。さらに、施設職員を対象とし、個別支援学習プログラムのメリット・デメリットおよびバーンアウトに関する質問紙調査を、プログラム実施の事前・事後で実施した。なお、児童および職員の事前調査結果については、2015年3月に開催された第26回日本発達心理学会にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
個別学習支援プログラムについては、当初の予定通り、平成26年4月から平成27年3月までの1年間、2カ所の施設で実施することができた。その際、研究代表者および研究分担者は自身の大学の学生の実習記録に目を通し、毎回コメントをつけて返却するとともに、グループスーパービジョン等を行い、大学生の児童への理解を深めるとともに、実習を通した学びや問題点について共有した。 また、児童養護施設の支援を受けた児童、職員、および支援を行った大学生に対し、各々事前および事後のアセスメントを実施した。児童および施設職員の事前調査結果については、第26回日本発達心理学会において、「児童養護施設入所児への個別学習支援プログラムの取り組み(1)児童のアセスメントから」および「児童養護施設入所児への個別学習支援プログラムの取り組み(2)施設職員の意識調査から-」という題目にて報告した。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、平成26年度に実施した個別学習支援プログラムの事前・事後調査の結果を分析し、児童、大学生、施設職員におけるプログラムの効果と問題点を検証する。個別学習支援プログラムについては、継続が可能な大学生に関しては、学習支援の効果をモニタリングしながら引き続き支援を続行する。その際、昨年度と同様に、学生には毎回レポートを書かせ、定期的に教員が個別に面接してフィードバックする。そして、個別学習を継続した児童と継続しなかった児童を対象として、昨年度と同様に、児童の学力、学習意欲、および、学生のキャリア意識(対人援助職)を測定する。そして、最終的にプログラムの効果を検証し、施設にフィードバックするとともに、プログラムの効果と課題について、学会等で報告し助言と批判を仰ぐ。
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次年度使用額が生じた理由 |
施設や子どもの都合等により、平成26年度中に個別学習支援が全回数実施できなかった学生がいたため、その学習支援に関わる交通費等について残金が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度に実施できなかった学習支援は平成27年度に実施する予定である。
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